働くあなたが「月曜午前」を警戒すべき理由 新たな提言「スローマンデー」って何?!
そこで調査チームでは、「仕事中のストレスが職場での血圧を上昇させる」「休日に比べ平日、中でも金曜より月曜の方が血圧が上昇している」「その血圧上昇が心血管事故を誘発する」という仮説を立て、実地調査を開始した。調査では、20歳~65歳未満で典型的な勤労者の男女(平均51歳)を対象に、月曜・金曜・休日の3日間、起床時、就眠時、そして職場で午前10時と午後4時の1日4回にわたって血圧と心拍数の測定が行われた。
原因は「ダブルプロダクト」の上昇
では、その調査の結果、何がわかったのか。木村氏が語る。
「血圧については全般的に大きな違いが認められませんでした。しかし心拍数と収縮時血圧を掛け合わせた指標である”ダブルプロダクト”で見ると、月曜午前10時に明確な上昇が認められたのです。ダブルプロダクトとは、心臓への負荷と全身の酸素消費量を測る指標で、心血管事故を予測できるリスク因子であることがわかっています。よく日曜日夜にテレビアニメの『サザエさん』を見て憂鬱になる”サザエさん症候群”の人がいると言われます。この時のダブルプロダクトをみても、日曜日に大きな上昇はなく、影響はそれほどでもないこともわかったのです」
続いて木村氏らのチームは、休み明けの仕事はじめがストレス要因となると考えて「職場高血圧」についても、同様の方法で調査を行った。
その結果、健診などで血圧が正常でも起床時や就寝前に血圧を測定すると高血圧と診断される集団が約45%存在すること。また、起床時や就寝前の血圧が正常であっても、仕事中に血圧が上昇する職場高血圧が約17%に達すること。さらに、職場高血圧でも、血圧は通常の高血圧ほどではないが、ダブルプロダクトが上昇する傾向が確認でき、職場でのリスク軽減の必要性がわかったという。