北朝鮮・金一族が元山で描く仰天の生き残り策 「観光」と「兵器」で生き残ろうとしている
外国人投資家に向けられたこうしたパンフレットでは、400平方キロメートル以上に及ぶ元山特別観光地帯には約15億ドル(約1690億円)規模の投資妙味があるとうたっている。
正恩氏の手で、すでにスキーリゾートと空港が建設されている。
パンフレットの1つによれば、同地帯には、約140カ所の歴史的遺物、10カ所の砂浜、680カ所の観光名所、4つの鉱泉、数カ所の海水浴場と自然湖沼、そして「神経痛と大腸炎に効く330万トン以上もの泥がある療養地」などがあるという。
当局者16人をスペインに派遣
正恩氏が投資を呼び込もうとしているプロジェクトには、総工費730万ドルのデパートや、同1億9700万ドルの都心開発、そして同1億2300万ドルのゴルフコース建設が含まれている。これらには借地料6250万ドルが含まれる。
正恩氏は今年、元山開発のアイデアを得ようと、当局者16人をスペインに派遣した。一行は、スペイン最大のリゾート施設の1つ「マリーナドール」や、ベニドームにあるテーマパーク「テラミティカ(神話の国)」を視察した。
「彼らはそのような場所を直接見て、撮影もしていた」と、マドリードにある北朝鮮大使館の報道官は語った。
両リゾート施設は、北朝鮮からの訪問団を確認。エジプトやギリシャ、ローマの古代文明などのテーマに感心していたと、テラミティカの広報担当者は話した。
正恩氏の元山開発プロジェクトに、海外から大口の参加を申し出る声はまだ聞こえてこない。2015年に完成した新しい空港だが、国際線はまだ開通していない。米国は最近、自国民による北朝鮮渡航を禁止しており、国際制裁は今や北朝鮮との共同事業を全面的に禁じている。
とはいえ、元山開発プロジェクトは正恩氏にとって戦略的に不可欠だと複数の元北朝鮮外交官は語る。