アマゾンは、何でも買える「巨大酒屋」だった 大手メーカーもすり寄る販売チャネルに

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そもそも、酒類はECに向いている商材といえる。ワインや日本酒といった瓶入りのもの、ビールやチューハイの24缶ケースなど、重さのある商品を自宅まで届けてもらえるのは便利だ。また、ワインやウイスキー、日本酒などは一般的な食品・飲料以上に産地や種類が多岐にわたる。リアルの店頭では見つけにくい珍しい銘柄を探すのにも、ECは向いている。

日本のアマゾンが酒類の直接仕入れ・販売を開始したのは2014年4月。まだ歴史は浅いものの、重要なカテゴリーに位置づけ、商品数を拡充するとともにあらゆる施策を講じてきた。

酒類専用倉庫やワイン直輸入も始めている

2015年7月には酒類専用の低温倉庫を稼働させ、取り扱い可能なお酒の種類を大幅に増やした。また2016年2月にアマゾン専属のソムリエに電話やメールで無料相談できるサービスを、その年の6月にはワインを主要産地から直輸入し販売する取り組みを始めている。これらの施策も貢献し、アマゾンにおける2016年の酒類売上高は、初年度の2.7倍まで拡大した(実数は非公開)。

「プライム・ナウ」の専用倉庫には、ワインなどのお酒と一緒におつまみも並べられている(撮影:尾形文繁)

日本にも相次ぎ上陸している、アマゾンの有料会員「プライム」向けの最新サービスでも、酒類関連の取り組みは活発だ。2015年に始まった、注文商品を最短1時間で届ける超速便「プライム・ナウ」では、冷えた状態で届くスパークリングワインをはじめ、最大で150銘柄のお酒を用意。チーズや菓子類など、おつまみに適した軽食類とともに販売を強化してきた。

2016年末に日本での販売を開始した、ボタンを押すだけで注文が完了する「アマゾン ダッシュボタン」には今年6月、ビール・チューハイ類が加わった。特にビールの品ぞろえについて前田本部長は、「(ボタン未発売の)アサヒビールの『スーパードライ』やキリンビールの『一番搾り』を含め、広く人気のある銘柄は均等に提供したいし、メーカーにも当社から提案している」と意欲的だ。

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