ロシアから燃料密輸?北朝鮮船「疑惑の航路」 545トンの船舶用燃料を積み込んだが…

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船荷証券によると、マドゥサン号の積荷の受取人は「LLCスカイ・シッピング」だが、ロイターはそのような企業に関する情報を見つけることができなかった。

ベルミュールは、カーゴの最終的な行き先について知る術がなく、制裁逃れと知りながら協力した事実はないと述べている。

IPCは、取材の求めに応じなかった。同社の親会社で、バミューダに登録されている「アライアンス・オイル・カンパニー」は、IPCが制裁対象に指定された際に、北朝鮮企業と契約関係にあったことはないと否定していた。

米財務省と国務省は、ロイターの質問に回答しなかった。

ロシア外務省は、北朝鮮への石油輸出に関する質問に回答しなかったが、制裁決議は順守していると述べた。ロシア税関は、国境を超える物のやりとりについての情報は提供できないと語った。

ロシアの対北朝鮮貿易は拡大

ロイターのデータによると、米政府がIPCを制裁対象に追加した後、ウラジオストクに寄港していた北朝鮮船籍の船はすべて去った。ウラジオストクの船舶輸送関係者によると、その際積荷は積んでいなかったという。ロイターは、この事実を関係書類で確認した。

ロシアから北朝鮮に向けた石油や石油関連製品の輸出は、北朝鮮の唯一の主要同盟国である中国からの輸出に比べるとかなり小規模だ。中国は、北朝鮮向け輸出を抑制し始めた一方で、ロシアの対北朝鮮貿易は2017年第1・四半期に全品目合わせて2倍以上に膨らみ、3140万ドル(約35億円)に達した。

ロシアの対北朝鮮貿易は、北朝鮮による相次ぐミサイル発射や、同国が水素爆弾と主張する核実験の強行で、より厳しい目にさらされている。

(執筆:Polina Nikolskaya、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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