「競争法リスク」に求められる経営判断とは? 数百億円の制裁金、個人の収監事例も発生

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渡邉 以前から言われていますが、コンプライアンスの問題は、結局は経営者の「不退転の決意」があるかどうかがカギになります。企業の競争とは自社が生き残るかどうかということで、競争法の観点からはそもそも同業みんなで仲良くというのはあり得ないわけです。経営者の方は、通常、自社がどのような方向に進むべきかを示し、それにコミットしていると思います。そうすることでメッセージが従業員に浸透し、それはコンプライアンスにも通じます。

より具体的には、経営企画室、法務部門、コンプライアンス部門といった部署が経営者の直轄下で、経営者と一体になって組織作り、人材の育成・研修などに取り組む必要があります。海外の企業は社内に競争法の専門家を擁している企業がほとんどですが、日本ではまだ少数のようです。専門的知識を踏まえた実務スキルのある人材の採用にも力をいれるほうがよい結果につながるのではないでしょうか。

富田 秀夫
トムソン・ロイター・ジャパン 代表取締役社長
共同通信社に入社後、国際金融情報分野を中心に担当し、共同通信マーケッツ営業一部長から、金融システムソリューション会社、金融コンファレンス企画会社代表取締役社長を経て、2012年7月より現職

富田 経営者の方々には、海外法令遵守の態勢を構築したうえで、海外市場で積極的に出ていき、競争力を発揮してほしいですね。当社ができることとしては、eラーニングプログラムだけでなく、デューデリジェンスやKYC(Know Your Customer:顧客確認)に不可欠なスクリーニングサービスもあります。今後も、世界中に広がる情報網を駆使して、日本企業のリスク管理に貢献したいと考えています。

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