オーナー経営者のためのM&A活用法 ~次世代への発展的な事業承継の要諦~

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二重橋法律事務所 代表パートナー弁護士
大塚 和成 氏

M&A案件を専門に扱う二重橋法律事務所の大塚和成氏は、オーナー経営者がM&Aを活用する最大のメリットはスピードで、即効薬のように効くが副作用もあると述べた。上場企業には物言う株主も多く慎重になるが、非上場のオーナー企業だと意思決定は早いと指摘。契約の最大の留意点は価格で、買い手には中身がわからないため、デューデリジェンスでしっかり確認してもらうことが大切とした。売り手からみても、契約書に、クロージング後に価格を調整する条項や、BSやPLに瑕疵が見つかった際に値下げする条項が設定されることもあり、契約書を確認することが肝要と強調。そのうえで、M&Aは専門家を探すのに時間がかかり時機を逸することもあり、日頃からブレーンを持つ必要があると結んだ。

日本S&T 代表取締役
西澤 民夫 氏

中小企業やベンチャーの支援で経験豊富な日本S&Tの西澤民夫氏は、PLやBSを見直し、売り上げ増を図るなど、M&Aの前に考えてみる価値のあることも多いと語った。これらの実践が独力では難しい場合、外部の専門家に依頼するのも一つの方法と述べた。米国では、行列が出来るようになったら店を売るオーナーもいるし、高く売れるように日頃から自分の家をきれいにしている人も多いと指摘。卸売会社が造船会社を買収し、その後両者とも順調に業績を伸ばした例を紹介した。また、売る際にいちばん大事なのは、会社を「見える化」し、セールスポイントを説明しやすくすることだと述べた。一方で買い手側は、中長期的経営戦略に適合したM&Aを考えることを忘れてはいけないとした。

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