トランプ氏、環境軽視で「パリ協定」を離脱へ G7では協定への支持を拒否し、他国と温度差
[ワシントン 31日 ロイター] - トランプ米大統領は31日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱を決めたとの報道について「もうすぐ分かる」と述べ、決断が近いことを明らかにした。事情に詳しい関係筋によると、大統領は離脱を準備している。
離脱が事実なら、世界でパリ協定に参加していないのはシリア、ニカラグア、米国のみとなり、米国の同盟国との亀裂が深まる可能性がある。
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団の問い掛けに対し、すでに決断を下したかどうかについては言及を避けたうえで、「両方の立場について多くの人の意見を聞いている」と語った。
関係筋によると、トランプ氏はプルイット環境保護局(EPA)長官とともに離脱の条件を検討している。
スパイサー大統領報道官は定例会見で、完全撤退以外の道を選ぶ可能性があるかどうかについてコメントを避けた。
2015年にパリで採択されたパリ協定には195カ国が署名。オバマ前米政権は2025年までに地球温暖化ガスの排出量を05年比で26─28%減らすと表明していた。
一方、国内石油・石炭産業支援を目指すトランプ氏は、昨年の大統領選で同協定からの離脱を公約。同氏は先週の主要7カ国(G7)首脳会議で、決定には一段の時間を要するとして、協定への支持表明を拒否していた。
米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで世界第2位であるため、米国の離脱はパリ協定での温暖化ガス削減の取り組みに甚大な影響を及ぼすことになる。
米経済界では、エクソンモービル<XOM.N>やアップル<AAPL.O>、ダウ・ケミカル<DOW.N>、ユニリーバ<ULVR.L> <UNc.AS>、テスラ<TSLA.O>などの大手企業の最高経営責任者(CEO)がこれまでトランプ氏に対し残留を求めた。一方、選挙中にトランプ陣営の大口献金者だった石炭会社マレー・エナジーのCEOはトランプ氏に離脱するよう迫った。
31日の取引で米石炭・再生可能エネルギー株は下落。米国の離脱によって、海外の石炭権益が逆風にさらされるとの懸念を映した。
事情に詳しい欧州連合(EU)当局者によると、EUと中国はパリ協定の実施に向けた合意を再確認する共同声明を準備している。
トランプ政権内ではプルイット長官の他、スティーブ・バノン首席戦略官・上級顧問や国家通商会議のピーター・ナバロ委員長らが離脱支持派で、排出量抑制によるビジネスへの影響を懸念している。
一方、トランプ氏の娘イバンカさんや国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長らは協定にとどまることを主張している。
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