ヤマト、未払い残業190億円で利益半減の驚愕 値上げや荷受け抑制の「クロネコ改革」道半ば

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ヤマトホールディングスは未払い残業について8万人超の社員に労働実態をヒアリングした(撮影:大澤誠)

「私たちの想像を超えるほどの労働需給の逼迫、Eコマース(EC、インターネット通販)を中心にした荷物の急拡大に、体制が追いつかなかった」(芝崎健一専務執行役員)。

ヤマトホールディングスは4月18日、2017年3月期の営業利益が前期比で半減となる340億円程度に減少すると発表した。下方修正の主要因は「未認識」労働時間に対して該当社員に支払う一時金だ。

子会社のヤマト運輸は労働組合からの要望や労働基準監督署からの是正勧告を踏まえ、1月からグループの正社員とフルタイマーの契約社員の計8万2000人を対象に調査を実施。終業後や始業前の仕分けや事務作業など、時間外の労働実態を1人1人にヒアリングしていた。

社員の6割近くで未払いが発生

今回、未払いの残業代が確認されたのは4万7000人。一時金として支払われる金額は合計で190億円に上り、2017年3月期決算で一括計上する。そのほか、未払い残業代に伴う社会保険料が30億円、さらに外部に配達を委託するなどの委託費20億円もかさみ、1月末に見直した営業利益予想からさらに240億円減額する格好になった。

2017年3月期のヤマト運輸の宅配便取扱個数は18.6億個と前期に比べて7.9%増えた。一方で社員数は契約社員、パート社員も合わせて16万人あまりと同2%増にとどまっている。

荷物の拡大で目立つのはECだ。首都圏では4割を占める営業所も出ている。EC利用者は日中に不在にする家庭が多く、荷物と共に再配達も増加しており、宅配ドライバーの負荷は日に日に大きくなっている。

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