あの芸能人は本当にゴリ押しされているのか トラブル続きの芸能事務所に募る不信感

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取材をしていてよく感じるのは、「各局のプロデューサーが、似たようなことを言っているな」ということ。たとえば、「彼は光るものがあるから、ぜひ使いたい」「彼女は会ってすぐに出てほしいと思った」などと言うのです。先述したように芸能関係者はタレントの才能に気づきやすく、「オファーをするかどうか」の感覚が似通っているもの。また、制作現場では「あの子はすごいらしいよ」などの話が飛び交っているという背景もあります。

各局の番組やCM関係者などがそれぞれオファーを出し、「結果的にゴリ押しのような状態になった」というタレントは、一般の人々が思っている以上に多く、最近は広瀬すずさんにこのような状態が起きています。

広瀬さんはさておき、このような状況は芸能事務所から見たら「痛しかゆし」の状態。特に10~20代前半の女性タレントは、「本当はじっくり育てたかったけど、思ったより反響がすごかったので、現場で育てる方針に変えた」というケースは少なくありません。プロデューサーとしては、「見るからに輝いているんだから、今のうちから使って育てるべき」という考え方であり、みなさんには「制作現場の意向による不可抗力のゴリ押しがある」ことも覚えておいてほしいところです。

ゴリ押しタレントは1人もいない

最後に挙げたいのは、一般の人々の事情。「急激に売れたタレントを見る」「好きな番組で何度も見掛ける」とゴリ押しと言いたくなる気持ちはあるでしょう。また、ネット上のゴリ押しという書き込みを見ているうちに、「そうなのかも」と思いはじめる人もいます。

しかし、ほとんどのタレントが一般の人々が知らないところで、下積みを経験し、頭を下げ続け、入念な準備を重ね、激務とプレッシャーに耐えているのも事実。確かに「プロなら当然」「あれこれ言われる職業」ではありますが、タレントたちは一般の人々が思っているよりも努力を重ねていて、「この人はすごい」と言われる人と「ゴリ押し」と言われる人の差は思っているほどないものです。ついバッシングしたくなったときは、そんなタレントの姿を頭に浮かべてみてはいかがでしょうか。

「タレントと一般人の間に立って解説する」という私から見て、バッシングを受けて当然のゴリ押しタレントは、一人もいません。ネットの普及でタレントが身近になった今、かつてのような「本物のスター」としてリスペクトされることはないでしょう。ただ、タレントもみなさんと同じ“仕事に励むビジネスパーソン”である以上、最低限の敬意は払うべきだと思うのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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