あなたのECサイトにブランド価値はあるか。
百貨店としてのブランドを
打ち出し成功した「高島屋」
サイトの「人格」とはどのようなものなのか。
「実店舗でも、『この店で買いたい』、と思えるようなところは、『そのお店らしさ』がはっきりしています。ECサイトでも、自社がどんなショップ(ブランド)なのか、お客様に伝えることが重要です。かっこいいブランドならかっこよく、まじめなブランドならまじめに伝えるのです。それにより、ファンが生まれ、コミュニケーションを通じてモノが売れていきます」と尼口氏は説明する。
まさに、類似の商品との比較を避け、指名買いをもたらす理想的なビジネスができるわけだ。
実際に尼口氏のコンサルティングにより、ブランディングに取り組み成功している企業がいくつもある。
「高島屋オンラインストアでは、ギフト販売のさらなる強化を提案しました。同社で販売している商品の多くは、他のサイトでお得に購入できるものがほとんどです。しかし高島屋には、長年培ってきた百貨店としての信頼感があります。同社の薔薇の模様の包装紙に包まれたギフトには、きちんとしたお店で買って送りたいという利用者の気持ちがしっかりと表現されています。これこそ他店にはまねのできない価値です」
この戦略を基に、同社ではギフトの購入動線を徹底的に検討し、リニューアルを実施。その結果、ギフト商戦で大きく売上を拡大したという。このほか、浮世絵をオンラインで販売する「アダチ版画」では、サイトを「自宅用」と「ギフト用」に大きく分け、それぞれまったく異なるコンテンツを用意し、より便利に買い物ができるように工夫している。
「『ブランディング』すなわち、自サイトをお客様にどう感じていただきたいかがはっきりしていると、最適なデザインやコンテンツ、さらには、お客様への返信メールの文面ひとつまで方向性が明確になります。サイトの明確な人格から、お客様の期待と信頼を裏切らない強い関係性が生まれ、自社サイトの強みへとつながっていきます」。尼口氏はブランディングの重要性をこう説く。