「米軍撤退」を支持する国民は多い
日本ではあまり情報が伝わってきませんが、アメリカ軍のアジア地域への展開に関して、国内には大きく言って2つの意見が存在しています。
ひとつは従来型の伝統的な考え方で、日本、韓国、フィリピンとの同盟を維持しながら、西太平洋はアメリカのコントロール下に置くというものです。当然、そのためにアメリカの軍事力も強化しなければなりません。中国に対しては南シナ海に防衛ラインを置くべきだと考えていて、南シナ海を中国が支配しようとすれば、断固これを叩くべきというものです。
もうひとつの考え方は、従来型の防衛政策とは異なるもので、西太平洋、とくに中国近海においてアメリカ軍の優位性を維持するのが困難になってきており、この先はもっと困難になっていくという見方をベースにするものです。現在、中国は猛烈な勢いで海軍力を増強し、対艦ミサイルなどの配備を強化しています。そのような中で、アメリカ軍がそれらを上回る軍事力、防衛力を維持しようとするならば、膨大なコストを負担しなければならなくなります。
加えて、彼らは、アメリカ本土から遠く離れた中国近海でアメリカ軍のプレゼンスを維持することが本当に必要なのか、と考えています。中国がアメリカ本土に攻撃を仕掛けてくると思うアメリカ人はほとんどいません。なのに、なぜアメリカ軍はそれほどまでして、西太平洋でプレゼンスを維持する必要があるのか、中国を挑発せずにもっとビジネスパートナーとしてうまくつき合っていけばよいではないかと考えるのです。
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