多彩な学びが生む"イノベーターシップ" 多摩大学大学院
本当に必要なのは 現実を変革できるイノベーターシップ
多摩大学大学院が学びの最終目的として掲げているのが、現実に負けず、強い意欲と志を持ってビジネスや人生の問題を解決し、未来を創造する力、つまりイノベーターシップを身につけることだ。
多摩大学大学院は、MBAの目的としてなぜイノベーターシップを掲げるのか。また同校の考えるイノベーターシップとは何なのか。
多摩大学大学院の研究科長を務める徳岡晃一郎教授は、ご自分の専門分野であるヒューマンリソース論、インナーコミュニケーション論の立場から、バブル崩壊後の1990年代から現在に至る日本のビジネス状況を、振り返りながら、次のように説明する。
「バブル崩壊後、ビジネスの現場ではコスト削減のための成果主義の導入が進みました。成果主義とは、目標を決めてその成否でコストをコントロールすること。それから約20年。成果主義で日本のビジネスは成長できたのでしょうか。成果主義が求める短期的な目標達成に追われて、リーダーがビジネスでも個人としても、未来への意欲やビジョンを持てなくなってしまった。現実は常に不条理なものですが、これにとりあえず対応するのが精一杯というリーダーが増えてしまった。部下を引っ張っていくべきリーダーが、ビジネスで次は何を目指すべきなのか、ビジョンを示すことができない。また個人としても、自分は仕事を通じて何がしたいのか、どんな人生を実現したいのかわからない。その結果、疲れ果てて精神的に壊れてしまう人も増えている。残念ながら、それが今の日本のビジネスの現実です」
とはいえ、ビジネスの現場に広く導入され、根付いてしまった成果主義に基づくシステムを壊すことはできない。考えてみれば、成果主義もツールのひとつに過ぎない。本来はビジネスを成功・発展させるためのものだったはず。
「成果主義をはじめ現実の不条理、職場のさまざまな問題を目にして、ただ憂いているだけでは何も変わらない。会社で、また自分の人生で、自分は今どうすればいいのか。何をすれば現状を変革できるのか。そんな思いを持ち、解決策を探している方は多いと思います。当校に興味を持ち、入学される方は、まさにそんな方々です」
では、このような現実の不条理に挑戦し、イノベーションを起こすにはどうすればいいのか。何を学び、身に付ければいいのか? それは、不条理な現実に負けず未来に向かう強い意欲と高い志を持つこと。そしてもうひとつ、ビジネスの現場で本当に役に立つ、変革を起こすための実践的な知識とスキルを身に付けること。
「私たち多摩大学大学院はこの2つを『イノベーターシップ』と表現しました。私たちは、このイノベーターシップを持ち、未来を創造できるリーダーの育成を目指しているのです」
現場で本当に役に立つ「実学」。少人数制のカリキュラム
では多摩大学大学院では、具体的にどのような学びを提供して、学生にイノベーターシップを身に付けさせようと考えているのか。
それは「実学」重視のカリキュラムである。
では実学とは何だろうか。
"「ビジネスパーソンがMBAで学ぶいちばんの目的は、ビジネスの現場や社会にあるいろいろな問題を解決すること。それは同時に、自分の人生の問題を解決することでもあります。それに本当に役立つ『学び』を私たちは『実学』と呼んでいます」"
多摩大学大学院には、大きな特徴がある。その1つが「少人数制で濃密に学べる実学MBA」だ。
「実学を志向していることは、当校のカリキュラム全体に現れていますが、さらに特徴的なのは『学び方』だと私たちは自負しています。それが少人数制の授業であるということです。机を囲んで実際の問題を、受講生と学生が皆で徹底的に議論する。個別にいろんな意見を言い合って学んで行く。これが当校の授業の基本になっています」
授業内容にもよるが〈6〜7人〉、多くても15人程度という規模は、受講生にとっては緊張感が保たれ、「他の有名なMBAスクールに行かれて、受講生の人数の多さ、学び方に満足できず、こちらに来られる方も珍しくありません」という。
11フィールド83科目のカリキュラムの濃密さ
多摩大学大学院のMBAコースには、さらに実学を実現するための特徴がある。それは「11フィールド83科目」という、他のMBAスクールでは実現できない、多彩なカリキュラムが用意されていることだ。
「これはイノベーターシップを身に付けるために必要な『学び』を用意していった結果、この数になっているのです。変革への高い志を持ち続け、その方向を見失わないようにするためには、広い視野が不可欠ですから」
この11フィールド・83科目のカリキュラムは、大きくMBA(経営学修士)とDSB(データサイエンティスト)の2つに分かれている。
「さらにMBAコースの中でも、カリキュラムが『実践知考具』『最新ビジネス実践知』『教養基盤』の3つのジャンルに分かれています。自分が問題の当事者として本当に解決していこうとすると、さまざまな項目の合わせ技で解決しなければなりません。そこで、項目の分け方を変えて「志」や「イノベーション」「顧客創造」など、独自の項目分けを行っています」
1:「実践知考具」の中核になる「志」と「イノベーション」
「実践知考具というジャンルでは、やはり『志』と『イノベーション』というカテゴリーの授業が、当校の大きな魅力であり特徴といえるところでしょう。まず『志』は、田坂広志先生(シンクタンク・ソフィアバンク代表、専門は社会起業家論)が主に担当されているカテゴリーで、非常に人気があります」
その内容は未来を創造する次世代のリーダーには欠かせない「高い志の育成」を目指したものだ。 「次世代のリーダーは、自分の人生だけでなく、『世のため人のため』『これから日本社会をどのように変えていくのか』『これから世界をどう変えていくのか』という高い『志』を持って仕事をしてほしい」という、田坂広志先生のお考えに基づいた授業内容。ビジネス戦略を超えて、さらに先の領域に踏み込んだ授業です」
そして『実践知考具』というジャンルでもうひとつ、多摩大学大学院の大きな魅力であり特徴になっている授業が『イノベーション』というカテゴリーだ。
「『イノベーション』は、イノベーターシップの育成が本学の重要なコンセプトでありその中核となる授業です。ここは、日本のビジネスモデル・イノベーションやデザイン思考の大家である紺野登先生や河野龍太先生が授業を担当されているところ。河野先生はビジネスモデル・キャンバス論では日本における第一人者です。そのお二人をメインに、従来の学問体系とは別の、実践に役立つ知とツールを手に入れよう、というのがこの授業。日本でもこうした授業を用意しているのは当校だけでしょう。こちらも受講生に非常に人気があります」
2:最先端ビジネスの実例 「最新ビジネス実践知」
「社会・事業構想」「グローバル経営」「ヘルスケア」「NPOマネジメント」というカテゴリーが並ぶ「最新ビジネス実践知」も、実学を重視する多摩大学大学院の特徴となる画期的なジャンルの授業だ。
「このジャンルの講義は、ビジネスの現場から最新のベストプラクティス(実践例)を学ぼうというもので、グローバル経営とかヘルスケアとか最新のNPOマネジメントとか、新しい分野も入ってきています。中でもヘルスケア分野では多摩大学院の取り組みはよく知られておりまして、病院関係者や看護師、ドクター、薬局などの方々が学ばれています」
3:イノベーションの目的やビジョンの確立「教養基盤」
また「教養基盤」というジャンルも、強い志と明確な目的、ビジョンを持って新しい社会を創造するイノベーターシップの育成を目指す多摩大学大学院を特徴づける授業。幅広くしっかりとした教養なくして、新しいビジネスや社会のビジョンをイメージすることなどできないからだ。
「ただ新しいことをするのが、イノベーションではありません。どのようなものを、どのような目的のために作るのか、しっかりと自分のビジョンを持っていないと、それは本当のイノベーションにはならない。ですから目的やビジョンを確立するために、基礎教養をしっかりと学んでほしいと考えています。そのため、松岡正剛氏の編集工学研究所とタイアップして授業を展開しています。こちらも本校の大きな特徴のひとつです」
これから必要になるのは自分自身もイノベーションできる力
不条理な現実を変えたい。社会を変えたい。イノベーションを起こしたいと考えている方には、ぜひ自分自身も定期的にイノベーションする。自分自身で定期的にコースチェンジ、キャリアチェンジを行う。人生の棚卸しや節目作りを定期的に行う。このことを、ぜひ実践して頂きたいと思います。
人工知能がさらに発展するこれからの時代、ビジネスや社会の変化は、さらに短期で劇的に起きるようになるでしょう。ひとつのスキルだけでは生きられなくなる。別のスキルが必要になる。少なくとも1回、さらに何回もコースチェンジ、キャリアチェンジを迫られる時代になる。
その時、自分自身で時代に合わせて変わることができる。ひとつのスキルに固執せず、新しいスキルを手に入れる。その自信とスキルを持っているかどうかが、大きく問われることになります。
そのスキルがあれば、どんな時代になっても、その時代に合わせて変わることができる。生き延びることができる。 これも、イノベーターシップのひとつです。 この力をぜひ身に付けてください。