東洋経済オンラインは、主要な上場企業が過去10年にわたってどれだけ従業員の平均年収を増減させたかを調査。全国のトップ500社、ワースト500社に続いて、本社所在地で見て全国7地域別(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)のランキングを作成した。
これまで紹介した「東京都トップ500社」「東京都ワースト300社」「東京除く関東249社」に続いて、近畿地方の2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)に本社を置く469社のランキングを公表する。
平均年収増減額は10年以上前から上場し、平均賃金を継続して公表している企業を集計対象にした。ただ、単体の従業員数が30人に満たない小規模な企業や、本社の中枢を担う社員しかいないケースが多く、給与水準が製造現場などの実態とかけ離れやすい純粋持ち株会社などは原則として除いた。約3600社の上場企業すべてを網羅している『会社四季報』(2016年秋号発売中)で集計しているデータを活用した。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
1位はあの高給企業、キーエンス
本ランキングの1位はキーエンス。平均年収はこの10年で380万円増え、直近は1777万円と上場企業の中でも3本の指に入る超高給企業だ。大阪に本社を置くFAセンサーの検出・計測制御機器大手。従来から超高給企業として知られる。もともと高給だがさらに上積みしている点に驚きだ。
2位はエフアンドエム。大阪府吹田市に本社を置く企業で、生命保険の記帳代行で1990年に設立された会社だ。中小企業向け情報提供サービスや税理士支援事業なども展開している。平均年収は234万円増え、直近で737万円となっている。2012年ごろまでの数年間は業績が停滞した時期もあったが、それ以降は順調に拡大しており、それに併せて従業員への処遇も改善しているとみられる。
ワースト469位は関西電力。この10年で平均年収は190万円ダウンし、直近は604万円となっている。原発の停止に伴う燃料費の増加で業績が悪化しているのが響いているとみられる。
平均年収の増加が大きい会社は好調に業績を拡大させているか、一時は不振に陥ったものの、その後、回復に転じたような企業が多い。一方、平均年収の減少額が大きい会社は、業績不振からリストラや事業譲渡などを進めたケースが少なくない。また、非正規雇用の正社員化などが影響している会社もある。本ランキング対象の469社のうち、259社が10年前から平均年収を増やし、210社が減らした。