東洋経済オンラインは、主要な上場企業が過去10年にわたってどれだけ従業員の平均年収を増減させたかを調査。全国のトップ500社、ワースト500社に続いて、本社所在地で見て全国7地域別(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)のランキングを作成した。
これまで紹介した「東京都トップ500社」「東京都ワースト300社」に続いて、東京除く関東圏(神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木の各県)に本社を置く249社の平均年収増減を公表する。
平均年収増減額は10年以上前から上場し、平均賃金を継続して公表している企業を集計対象にした。ただ、単体の従業員数が30人に満たない小規模な企業や、本社の中枢を担う社員しかいないケースが多く、給与水準が製造現場などの実態とかけ離れやすい純粋持ち株会社などは原則として除いた。約3600社の上場企業すべてを網羅している『会社四季報』で集計しているデータを活用した。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
日産は66万円増、しまむらは2万円減
本ランキングの1位は神奈川県川崎市に本社を置くメディアグローバルリンクス。放送や通信系危機の開発、販売を手がける。生産設備を自前で持たないいわゆるファブレスメーカーだ。平均年収は10年前から212万円増え、799万円となっている。近年は業績を拡大基調にあるが、かつて2008年前後に赤字が続いたことがあり、その反動もあってのこととみられる。
全国的に有名な企業としては、35位日産自動車(66万円増の795万円)、120位オリエンタルランド(12万円増の775万円)、128位ヤマダ電機(10万円増の401万円)、148位しまむら(2万円減の586万円)など。地銀が軒並み平均年収を減らしているのも目に付く。
平均年収の増加が大きい会社は好調に業績を拡大させているか、一時は不振に陥ったものの、その後、回復に転じたような企業が多い。一方、平均年収の減少額が大きい会社は、業績不振からリストラや事業譲渡などを進めたケースが少なくない。また、非正規雇用の正社員化などが影響している会社もある。本ランキング対象の249社のうち、147社が10年前から平均年収を増やし、102社が減らした。
減少額が最も大きかったのは249位のバナーズ。埼玉県熊谷市に本社を置く会社だ。発祥は製糸業だったが、投資グループの経営参画によって現在はホンダの新車販売を主力としつつ、収益源は不動産賃貸業となっている。