長野県

企業も自治体も共に進化する
創造性の高い戦略が成長の推進力に

企業活動や地域経済を成長軌道へ導く立地戦略とは

企業誘致は地方創生を
見据えた対応がより重要に

東京大学大学院
総合文化研究科 教授
松原 宏 まつばら・ひろし
1985年東京大学大学院理学系研究科博士課程地理学専門課程修了、理学博士。経済地理学を専門分野として、産業立地と地域経済に関する理論・実証研究を行う。現在はR&Dを中心とした日本企業の立地調整や産業集積地域の進化経済地理学的分析に取り組む。

地域の産業集積を強みとしてアピールする自治体も少なくない。ただ集積地域自体が量的に減少してきており、集積地域内の企業が販路を求めて新たな分野に関わるなど、集積地域内の構造自体が複雑化しているという。このため、それらの変化をとらえた面的な政策も求められ、「より視野を広げて、広域関東圏程度のスケールで集積地域と集積地域のネットワークを進めることも重要になります。たとえば、精密機械、自動車、航空機、医療機器など、集積地域の連携によって産業間の融合を図り、成長・発展を目指すことができます」

地域産業政策に関しては、自治体間のアイデア競争になっている面もあり、その成果で差が出てきているという。しかも、企業誘致に関連する新しい法律ができると、真っ先に政策に反映させる自治体は大体決まっていて、それが地域経済の競争力にも表れているのだ。「つまり、地方創生の動きをしっかりと捉え、知恵を絞り迅速に対応しないと勝ち残れない時代になってきているのです」

情報収集力も重要で、「まち・ひと・しごと創生本部」では、「RESAS(リーサス)」と呼ばれる地域経済分析システムを構築し、ビッグデータを自治体に提供し活用を推奨している。松原教授は、自治体が戦略的な企業立地政策を実行していく上で、リーサスには自治体のみが閲覧できる貴重な情報があると紹介する。それは、地域内の企業の取引先や仕入れ先、外注先が一目で分かるもので、企業が新しい立地を検討するときは取引先を勘案したり、取引先から情報を得ることが多いことから、そのデータの利用価値は高いと指摘する。「もちろん、自治体にとって重要なのは、入手した情報をいかに施策に生かせるかです」

自治体が企業誘致の戦略を作る上では、刻々と更新される鉄道や高速道路、港湾、空港などインフラの状況を捉えることも大切だ。どの自治体もそうした情報には常にアンテナを張ってチェックしていると思うが、高速道路がつながるときには非常に有利になる場所が見えてくるものだ。そうした場所には物流拠点も増えていて、新設工場などの誘致にはスピード感も問われる。

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