旅客機高級シートに参戦した日本企業の勝算 ジャムコは欧米2強の寡占を崩せるか
世界的な輸送人員の増加により、右肩上がりの成長が続く旅客機産業。その追い風に乗り、急成長を遂げているのが内装品メーカーのジャムコだ。
同社は旅客機の化粧室、ギャレー(厨房設備)の世界大手。化粧室は米ボーイング社のメインサプライヤーで、787、777型機など中大型機用の設計・製造を一手に担っている。エアラインと直接契約するギャレーも、世界で100社以上の納入実績を誇る。
旅客機需要の拡大で化粧室、ギャレーとも生産は超繁忙。さらに円安効果も重なり、2015年度の連結業績は売上高910億円、営業利益100億円といずれも過去最高を連続更新する見込みだ(数字は東洋経済予想)。
そのジャムコが、内装品の花形分野であるシートに本格参戦した。単価が高いプレミアムシート(ビジネス、ファースクラス用座席)が対象で、すでにシンガポール航空の国際線メイン機材である777で導入が始まっている。
ギャレー、化粧室に続き、高級シートでも世界大手サプライヤーの座をつかめるか。ジャムコの鈴木善久社長に、勝算や今後の事業戦略などを聞いた。
事業規模は前年の2.5倍に
――内装品ビジネスの新たな柱として、シート事業の育成・強化を掲げている。
受注自体は順調で、ビジネスクラスを中心にすでに約4000席の受注残がある。うち約3000席はシンガポール航空(SQ)向けの特別仕様シートだ。
777の新造機用と既存機更新用に加え、別の機材(SQが今後導入するA350)のビジネスシートも任され、これから数年間にわたって供給が続く。
また、お客さんの名前は言えないが、ほかの大手アラインからもA350用ビジネスシートの大口発注を受けている。こちらの納入も始まり、2015年度のシート事業の売上高は100億円規模になる(前年度実績は約40億円)。
現在確定しているのはこの2社だけだが、複数のエアラインと商談中で、近く正式契約まで行けそうな案件もある。
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