「男子選手1人が呼べるギャラリーは、(女子トップである)イ・ボミ選手の10分の1かもしれない。少ないと思う。改善しようとするか、それでいいと思うか。どれだけの選手が危機感を持っているかだと思います」
2015年のプロゴルフ国内男子ツアーを締めくくる日本ゴルフツアー機構(JGTO)の表彰式が12月7日に東京都内のホテルで開かれた。最終戦の日本シリーズを制したばかりの石川遼の話を久しぶりに聞いた。石川はファン投票による「MIP(Most Impressive Player)賞」の9年連続獲得を「幸せなこと」としたうえで、ギャラリーの話題に言葉が止まらなくなったのか問題点を指摘した。
報道によると石川は最終戦の3日目、例年より少ないギャラリー数に「ファンはよくわかっている。もっとレベルの高い試合を見せないといけない」と発言していたようだ。確かに、石川にはそういう発言をしてもいい「権利」はあると思う。
国内トーナメントは、外国勢に「やられすぎ」
2015年のプロゴルフ男女ツアーを振り返ると、賞金王は男女とも韓国勢で、男子が1億6598万円で金庚泰(キムキョンテ)、女子はイ・ボミで女子では初めて2億円超えの2億3049万円。女子は賞金ランク5位までが外国選手で、韓国4人、台湾1人。男子は1億円を超えたのは2人、女子は6人いた。日本勢は男女各1人(宮里優作、渡辺彩香)。「やられすぎ」の印象は否めない。これが原因なのかははっきりしないが、今年もツアーの入場者数の減少傾向を止められなかった。
ゴルフトーナメント振興協会のデータで、優勝者が決まる最終日のギャラリー数を調べてみた。石川がアマチュアで優勝した2007年にそれまで6000人台だったギャラリーが7000人台になり、2008年には8901人、石川が4勝を挙げて賞金王になった2009年には1万199人になっている。石川が米ツアーを主戦場にしたここ3年は7000人台→6000人台と減り、今年は5683人。過去10年で最低の数字になった。これは2009年のほぼ半減。ただ、これは単に石川が不在という理由だけではないのだろう。「優勝争いを見たいと思わない」というギャラリーが多くなっているのは確かだ。
最新の世界ランキングで松山英樹が15位にいるが、50位以内に日本選手はほかにいない。それが日本ツアーを主戦場にする日本選手のレベルと思われても当然だろう。「見たいと思われていない」ことを実感すべきなのだろう。レベルは急に上がらない。広く「顔」を売ろうとする努力が先決だと思う。
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