「10年後、ゴルフ業界の市場規模を2兆円に引き上げよう」
そんな「提言」がブチ上げられた。
日本プロゴルフ協会、日本ゴルフ場経営者協会、全日本ゴルフ練習場連盟の3団体は3月上旬、日本プロゴルフ協会が委嘱した「経営戦略会議」の「ゴルフ市場再生活性化に向けた新たな提案」と題する提言書を公表した。現在、約1兆4000億円のゴルフ市場の規模を6000億円上積みしようというもくろみだ。
経営戦略会議の座長を務めたのは、日本マーケティング研究所所長の廣瀬恒夫氏。3団体からの委員などを含めて9人のメンバーで構成されている。日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長が委嘱したのは2014年2月の会長就任直後。約1年かけて練り上げた「ゴルフ業界再生への道筋」だという。
自然発生的なブームは期待できない
ゴルフ場、練習場、用品業界、ティーチングのそれぞれの市場の現状と未来予測をはじき出し、その上で何をやっていくかを提言している。たとえば、ゴルフ人口については、団塊世代のビジネスツールとしてゴルフが使われたが、2015年にほとんどがリタイアすることで終了し、今後は自然発生的にゴルフブームが再燃する期待はできない。総人口の減少、保有自動車数の減少も拍車をかける。
同じレジャーでも東京ディズニーランドは右肩上がりの成長を続け、客単価は10年で約20%増の1万円を超えたのに対して、ゴルフ場はバブル期から20年で70%近く落ち込んで客単価1万円を切っている。この違いはどこにあるか、などを分析し、どうすればいいかの方向性をまとめている。
数字で言えば、ゴルフ市場の低迷は明らか。主な数字は以下だ。
レジャー市場は全体的に縮小傾向にあるものの、ゴルフ業界全体でほとんど半減と突出している。たとえば自分の会社の売り上げが20年で半減したら、大変な話だろう。一方でゴルフ場も練習場も、用品メーカーの数やその人員も、半減したという話は聞かないので、これら企業の経営が厳しくなっていることが推測できる。
プロゴルフ界にとっても、本来は「プロはあこがれの職業」であり「ゴルファーの目標」であるはずが、収入を考えるととうてい「夢の職業」とは言えなくなっている。たとえば、ツアーなど試合に出場して賞金を稼ぐツアープロ(トーナメントプロ)とは違って、練習場やゴルフ場でアマチュアゴルファーを教えて、その「授業料」を生業とするティーチング(指導)プロにとっては「冬の時代」だ。
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