「下町ロケット」半沢と似て非なる熱狂の裏側 TBS常勝チームのキーマンがすべてを明かす

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――ロケットをテーマにしてきたストーリーは第5話までで終了し、11月22日(日)放送の第6回からは「ガウディ計画編」と呼ばれる新展開を迎えます。

話はこれからガラッと変わって、宇宙から人体の中に入っていきます。まったく雰囲気変わると思います。佃航平は前半こそ自分の夢のために突き進みましたが、後半は人のために動く。

少しだけ紹介すると、小さい心臓人工弁がないために死んでいく子どもたちを助ける。手作業でやらなければならないような、すごく細かい、宇宙のバルブシステムの技術が、たまたま人工弁に活きる。ただ、ここで佃航平は医療界を相手にして大変な目に遭います。

「面白かった!」と思われるものを作っていく

――下町ロケットも半沢直樹と同じく、視聴率は回を追って上昇傾向ですね。

いやいや、変に数字を狙ったりすると、いいことないんですよ。ここで数字を取るんだ! っていう気持ちも必要ですけど、すべては、見てるお客様に楽しんでもらうためにやらなきゃいけない。「面白かった!」と思われるもの、というだけで作っていこうという気持ちが大切かな、と。

難しいところなんですよ。同じものを作るのに、「数字を取るぞ!」と思って作るのと、「いいものを出そう! これで感動してもらおう!」と、そこだけの気持ちで作るのとでは、色々な細かい点が、変わってきます。すべては見ていただいているお客が、楽しんでいただくためにやらなければなりません。

もちろん数字はとても気になりますけどね(笑)数字がよくないと、スタッフに苦労をかけてしまうし、キャストの人たちの活気も落ちてしまいますから。数字はいいに越したことはありません。

――半沢直樹は最終回で40%を超える平均視聴率を出しましたが、下町ロケットもこれからラストにかけて、その数字を超える手応えはありますか。

全く! 超えるワケがないと思います(笑)半沢直樹のときは、世の中の変な勢いがついてしまったんです。実力以上に、周りが大騒ぎになった。あと、やっぱり子どもたちにも見てもらったのも大きかった。半沢直樹の決めセリフの「倍返しだ!」を真似したりして。そういう意味では下町ロケットは、子どもが見て面白いドラマではないですよ。

――下町ロケットには、わかりやすい決めセリフはないですね。

これで決めセリフつくったら、それこそ品性を疑われますよ。半沢直樹の「倍返しだ!」は原作を読んで、スカッとするなあと思っただけで、あそこまで流行るとは思っていませんでした。下町ロケットの場合は、何か決めセリフを考えようかという気も起きません。

それよりもちゃんと、ロケットを忠実に描くのはどうするか。あの工場を描くのはどうするか。燃焼実験のシーンはどうするか。などのほうに頭を使っています。ただ、池井戸さんには、半沢直樹と佃航平が手を結ぶ、そういう作品を作ってくれ!とは言っています。本当に佃製作所が困ってしまったときに、半沢直樹がやってくるような。池井戸さんには「いつかね」って言われていますけど。

(撮影:梅谷 秀司)

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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