「下町ロケット」半沢と似て非なる熱狂の裏側 TBS常勝チームのキーマンがすべてを明かす

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――半沢直樹以前は「男性はテレビドラマを見ない」「企業モノは視聴率が取れない」という傾向があったようですが。

最近は変わったと思いますね。半沢直樹は放送開始されたとき、競合の他局はすべてノーマークだったんですね。絶対当たらないと、全テレビ局が踏んだと思います。悲しかったですけどね(笑)

そもそも、やはりテレビドラマは女性が見るものなんです。「F2」「F3」といって、35歳以上の女性をターゲットにするんですが、その人たちがかかわっていないモノ、わからないモノ、難しいモノを出さずに、わかりやすくすることが重要という考えになる。そこで、刑事モノとか、医者モノとかが増えていくんですが、つくっているほうとしてはつまらなくなるわけですよね。

半沢直樹は銀行モノの中でも、やっぱり、原作読んだ時に「面白い」と思ったし、ダメでもやってみようかということで進めたんです。始まる前から数字はどうでもいい、女性が見なくても仕方がないという感じでした。

でも、お客は私たちよりも一歩も二歩も上に行っていました。難しくても、それ以上に純粋に「面白い」モノを望んでいました。半沢直樹は女性視聴者がまず飛びついて観てくれて、男性視聴者がそれについていったという感じですね。

モヤモヤしているところに求められているものがある

――下町ロケットの全体の雰囲気や空気感、演出の方法などは半沢直樹と似ています。ヒットの型は確立したのでしょうか。

視聴者の方々が何を求めているかなんて、全然わかりません。逆に「どういう作品を見たいですか?」と聞いても、答えていただくのが難しいとも思います。そういう何ともモヤモヤしているところに求められているものがあり、それにはまる何かが出てきた時に、「あ、見てみようか」となるのではないでしょうか。

半沢直樹、ルーズヴェルト・ゲーム、下町ロケットの3シリーズは、同じ時代背景の中にいるという前提ですが、半沢直樹と下町ロケットはテンポの良さなどの撮り方が一緒でも雰囲気は全然違います。

――具体的には?

半沢直樹は主人公と同期の3人が突き進んで行った話ですが、下町ロケットの佃航平は社員を抱えていて、社内の構図とかいろいろなものがある。その中に感動もあり、挫折もあり、裏切りもある、ということを丹念に描いていくというところの違いなどですね。

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