ヤマト運輸、「メール便」廃止騒動のそれから 「ゆうメール」の攻勢で新サービスが苦境に
「想定の中で最低のシナリオ。消費者は単にもっと安い他社のサービスを使っただけだ」。あるマーケット関係者は、ヤマトホールディングスの決算を受けて、思わず突き放した。
陸運大手、ヤマトが揺れている。10月29日に発表した2016年3月期の上期決算(4〜9月期)は営業利益180億円と、リーマンショック後で最低の水準という厳しい内容だった。
同時に通期の営業利益見通しも、従来予想から30億円減額し、690億円へと下方修正した。その理由について山内雅喜社長は、「クロネコメール便廃止による影響を、新サービスの伸長でカバーしきれなかった」と説明する。
メール便を廃止せざるを得なかった理由
メール便はヤマトの売上高の10%弱を占めており、宅急便に次ぐ、サービスの一つだった。が、今年3月、メール便を廃止している。
郵便法では、手紙やはがきなどの「信書」を、日本郵便や信書便事業者以外が配達することを禁止している。ところが、送り主が誤って、メール便に信書を同封してしまうケースが起きていた。
送り主である顧客と配送業者が刑事罰を科される可能性があるため、サービスを廃止せざるをえなかったのである。
実際、メール便は郵便受けに投函できるため、再配達の手間が要らないメリットがある。人件費が売上高の5割に達するヤマトにとって、単価は安くても収益性の高い商品となっていたのだ。
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