今夏、アメリカのテレビ業界に激震が走った 業界の寿命を真剣に考えてみた

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「テレビ業界は、よりデジタル企業のように振る舞わなければならない。広告主に対して、放送局が保持している巨大な視聴者層と、その売り上げを最大限活用しなければならないのだ。

バナーや検索広告(アドワーズ)、YouTubeは、1日で10億個ものハンバーガーを売ることはできないが、テレビならそれをできる」と、シミュールメディア(Simulmedia)の創設者であり代表取締役のデイブ・モルガン氏は話す。テレビ局は広告に対するROI(投資対効果)や投資インパクトをより正確なデータで保証できるようにして、広告の放映スケジュールの組み立て、ターゲットとする視聴者により正確に届けられるようにしないといけないと警鐘を唱えた。

いま変革を求められている、テレビ業界

YouTubeは、モバイル機器での1人当たりの平均視聴時間が40分だと発表している。多くのオンライン動画クリエイターやテレビ局は、モバイル機器での視聴が少なくとも全体の半分を占めていると話しているほどだ。

確かにモバイル機器の使用率は高い。しかし従来のテレビスクリーンとして、モニターとしてのテレビは死んでいるわけではない。「くつろぎながら質の高いコンテンツを視聴するにはテレビが最適なスクリーンなのに変わりはない」と、米動画配信プラットフォーム「ブライトコーブ(Brightcove)」にてマーケティング・ビジネス開発部長を務めるマイク・グリーン氏。

多くの消費者は配信コンテンツにつながるテレビを購入している。マーケットリサーチ企業eマーケター(eMarketer)によると、2018年までに1億9140万人のインターネットユーザーが、テレビを経由してインターネットにアクセスすると予想した。

テレビ業界は現在変化している。冒頭に述べた業界の動揺は、ウォール・ストリートが過剰反応したにすぎず、現在のテレビはその役割を将来も担っていくことは確実だ。グリーン氏は「テレビ業界は今後、制作・キュレーション・実装(または運用)の3つの分野を確実に実行していくための技術を発展ができれば、関係会社の多くは生き残るはずだ」と、テレビ業界の将来に期待を残している。

Sahil Patel(原文 / 訳:小嶋太一郎)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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