「有名人の飲食店」どこで明暗が分かれるのか 元木大介氏のラーメン店「しくじり」が話題に

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有名人が飲食店を経営すると世間の話題になりやすい。メディアで報じられたり、口コミで広がったりする。もともとの知名度を武器にした抜群の宣伝効果を期待できるのだ。そして、飲食店経営は比較的参入障壁が低い。

ここにワナが潜んでいる。

有名であるがゆえのデメリット

宣伝効果の大きさは両刃の剣だ。単純な話、その店で食べたお客が「タレントの○○が開いたお店、行ってみたけど思ったよりおいしくなかった」「元プロ野球選手の△△のお店は、接客がよくなかった」などという感想を持ったとしよう。

こうした悪評は、もともとの宣伝効果が大きい分、すぐに広まってしまう。そもそも「有名人のお店」というだけでお客の期待値は高いのだから、よほど味にこだわって、丁寧な接客ができないかぎり、それに応えることは難しい。

有名人というプライドが邪魔をすることもある。元木氏が2号店に選んだ地は東京都渋谷区の広尾。麻布や青山と接するスポットで、おしゃれなお店が多い。自分が有名だからこそ、そうした華やかな地域に店を出したくなるものだろうが、その分の家賃も高く、相対的にある程度の給料を払わないと従業員も雇えない。つまり固定費がかさんでしまう。

有名人だからといって、高飛車な商売もできない。多少は高めの価格設定も許されるかもしれないが、一般のお客はコストパフォーマンスにシビアだし、接客サービスが悪い店は避けられる。そもそも個人事業主の起業生存率はとても低く、中でも飲食業での起業生存率は2年で50%といわれている。これは有名人の副業の数字ではなく、一般の人が専業で必死になって働いた結果だ。甘くはない。

とはいえ飲食店経営に成功している有名人もいる。元木氏と同じくラーメン店を営んでいる俳優でタレントのデビット伊東氏は複数店舗の経営で年商は約2億円といわれ、海外進出もはたしている。伊東氏はラーメン店を始めてからいったん、芸能界をやめている。有名人というプライドを捨て去り、専念する覚悟が繁盛店を生んだのだろう。

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