「プロジェクトを抱えています」は、意味的には「今行なっていること」ですので、現在進行形で正解なのですが、haveという動詞、実は進行形にできない状態動詞と呼ばれるもの。これは現在形のままで「~を持っている」という意味になります。これにはタロウさんの顔が少し曇りました。
「状態動詞かどうかはどうすればわかるんですか」。お気持ちはお察しいたしますが、とりあえずよく出てくるものは暗記してしまうしかないですとお伝えしました。know「~を知っている」やbelong「所属している」などが状態動詞の仲間です。
これはちょっとややこしいのですが、「~ている」という日本語で表されるものの中には、英語では形容詞を使うものがあります。
たとえば「閉店している」にはclosedという形容詞を使います。動詞のcloseを進行形にしてThe cafeteria is closing.というと、「今まさにシャッターが下りて店が閉まっている最中」という意味になります。同じようにdead「死んでいる」、married「結婚している」、fat「太っている」なども日本語では「~ている」と訳しますが、形容詞を使います。タロウさんの感想は「解ったような、解らないような。なんかダマされている感じ」。そんな、レッスンでダマしたりしませんよ! これもよく使うものは覚えていくしかないでしょう。
「キャンペーンは始まっています」というのは、「始まっている最中」という意味ではなく、「始まった状態が続いている」ということですよね。「終わっている」や「落ちている」と同じで、「終わる最中」「落ちる最中」ではなく、「終わってしまった状態である」「落ちてそこにある」という意味。
動詞や文脈によりますが、英語の現在完了形と似ています。現在完了形というと過去形とよく混同されるのですが、過去形でThe campaign started.と言うと「キャンペーンが始まった」という意味。The campaign has started.と言うと、「キャンペーンはもう始まっています」という感じ。事実としては同じなのですが、「始まった」という動作自体がポイントではなく、「始まって、それが現在も続いている状態」ということがポイントになります。
タロウさんには難しいかなと顔色をうかがっていたのですが、「なるほど!」と納得。「現在完了形ってよくわからなかったけど、なんか今日わかった気がする!」とのこと。筆者もこれを機に、「現在完了を教えるときには『~ている』の例文で教えよう」と思ったのでした。どうしても過去形の文と同じ日本語訳になってしまって、違いが通じないことが多いんです。これは筆者の中でも、ちょっとした発見でした。日本語にも現在完了形に似たものがあったんですね。
タロウさん、ご乱心!
現在完了形の話がすんなりと終わったので、現在完了進行形もすぐに納得してもらえるだろうと思った筆者が甘かった……。現在完了進行形を使うと「ある行動がどのくらいの期間続いて、現在に至っているのか」ということが表現できます。つまり「入社して3年になります」とか「結婚して3年です」なんて言うときに、とても便利な表現。これが、日本語では「どのくらいこの会社で『働いている』のですか」「この会社で3年『働いています』」のように「~ている」を使うため、現在進行形にしてしまう方が非常に多いんです。
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