11年11月11日が野田首相にとって運命の分かれ目の日に

11年11月11日が野田首相にとって運命の分かれ目の日に

塩田潮

 11年11月11日という日は、もしかすると野田首相にとって上り坂か下り坂かの分かれ目となるかもしれない。

 基本合意を予定するハワイでのAPEC首脳会議を明日に控えて、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加の決定を巡り、政権発足後初めて難局に直面する展開となった。首相は最終的に交渉参加を正式決定すると見られるが、この問題が火種となって、政権が急降下する危険性も指摘され始めた。

 安倍首相以来、6年足らずで6人目の首相だが、早期墜落となれば、連続短命の記録更新という事態となりかねない。

 1885年の内閣制度誕生以降、 126年で首相は計62人で、在任期間は平均2年、戦後に限っても66年で計33人だから、同じく平均2年である。1年7カ月だった竹下元首相は「歌手1年、総理2年の使い捨て」と言ったが、いまや「総理も1年の使い捨て」の時代だ。

 だが、戦後史を見ると、おおむね2年超の中・長期の首相と2年足らずの短命首相の時代に区分できる。敗戦直後の3年余は首相5人の短命期で、以後は第2次吉田政権から中曽根首相まで約40年の中・長期政権期、竹下首相から村山首相まで約10年の短命期、橋本首相から小泉首相まで約10年の中・長期政権期と続き、最近6年が超短命期だ。

 戦後の混乱時代、自民党衰退と連立政権実験の時代、現在の衆参ねじれ常態化の時代に短命首相が続いた。

 一方、経済状況を見ると、廃墟からの復興、バブルと崩壊後の低迷、長期デフレが短命首相の時代である。これを見ると、与党の衰退や衆参ねじれの打破と同時に、経済の浮揚や再生が短命首相克服のカギであることがわかる。

 実際にそれが実現していなくても、明確な達成目標を掲げ、挑戦姿勢を打ち出して、政権の総合力を発揮する態勢をつくり上げれば、国民の期待と支持が高まり、長期政権の展望が開けてくる。

 ここまで安全運転第一の野田首相だが、歴史から教訓を読み取り、そろそろ積極挑戦型に転換しなければ、6人連続短命首相に終わると知るべきだろう。
(写真:梅谷秀司)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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