KDDI社長「僕は商売人の子、マーケも詳しい」

明暗わかれた携帯各社、勝ち組auの秘密(下)

技術にも詳しく、「田中プロ」と呼ばれることもある田中社長。実家は自営業で「サラリーマンに憧れた」(撮影:梅谷秀司)

2014年度に売上高・営業利益ともに、ついにドコモを上回ったKDDI。スマートバリューから始まった一連の戦略に、どんな思惑があったのか。前編「KDDI社長『au経済圏広げる』ための新戦略」に続き、社内外で改革を進めてきた田中孝司社長へのインタビュー後編は、マーケティングを中心にこれまでの戦略を聞いた。

――スマホ投入に出遅れ、顧客獲得に苦戦していたタイミングでの社長就任だった。

契約獲得の勢いが落ちて、1契約当たりの収入も下落する苦しい状況だったので、急速にスマホシフトを進める必要があった。社長に就任した当時は シャープのスマートフォン「IS03」しかなくて、このままでは厳しいと、翌年にはアップルの「iPhone 4s」を導入している。

2012年3月にスマートバリューなどを含む3M戦略(※)を始めたが、かなり前から検討していた。法人営業の担当から、2010年4月に個人向け営 業の担当に変わったのだが、契約獲得数は落ちていて、これは骨太の戦略を作らないとだめだと。1年ほど約10人の若手メンバーと検討していた。

(※さまざまなコンテンツやサービスを提供する「マルチユース」。固定回線と無線の複数のネットワークを組み合わせてデータ通信を分散する「マルチネットワーク」。スマホやタブレット、PCなどで利用する「マルチデバイス」を進めるという戦略)

セット割引きを強力に推進

スマートバリューは「固定回線とスマホを両方買えば値下げする」というバンドル(組み合わせ)プラン。値引き分と契約の純増分のバランスがとれないとうまくいかない。業界トップはやってはいけない戦略だが、当時は顧客獲得競争で3位。あらゆることをやらなければならなかった。

KDDIだけでは販売チャネルが弱いので、電力系の事業者やケーブルテレビと手を組んだ。ケーブルテレビはauのユーザーと異なり、契約者の平均年齢が50歳であるとか、家族単位の顧客ベースも持っている。顧客との密着度も高い。また、自社の光回線のカバーエリアも狭かったので、連携して全国をカバーしようと考えた。バンドルプランは解約率を抑える効果や、(家庭のWi-Fiによるデータ通信で、LTEなど無線ネットワークの負荷を軽減する)データオフロードのメリットもある。ぶれずにやっていこうとスタートした。

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