KDDI社長「au経済圏広げる」ための新戦略 明暗わかれた携帯各社、勝ち組auの秘密(上)
――携帯企業は各社とも、端末ランナップや料金プラン、サービスが横並び状態となった。現在の競争環境をどのように考えているのか。
ユーザーがスマホに飽きたというのは言い過ぎだが、数年前に比べて優先度が低くなっている。現在のスマホ比率は54%で、ガラケー(従来型携帯)から乗り換える最後のユーザーを刈り取ろうとしているところだ。スマホが売れた良き時代が続いた後、マーケットはゆっくり落ちているが、携帯事業者は次の戦略を打ち出せておらず、何が来るのか待っている状態だ。IoT(モノのインタ―ネット)が来れば面白いのだが、まだ業績を牽引するほどではない。明確に「これが次のトレンドだ」というものがない。
それではどうしていくのか。われわれはauユーザーの「経済圏」を広げることが重要だと思っている。最近は(店頭のタブレット端末などで、食料品や日用品を販売し自宅に届ける)物販サービスや、金融について発表した。ECならアマゾンや楽天があり、リアルでも多くのショップがある。「何をやっているんだ」と思われるかもしれないが、通信以外の新しい市場に出るには強みを磨かなければならない。多様なプレイヤーがいて準備が必要なので、今からやっている。
auショップは変わる必要がある
――なぜ物販サービスに乗り出すのか。
われわれにはauユーザー、auショップ、商品があり、それらをうまく流通させる仕組みが必要だ。auショップは市場が縮小する中では減らさなくてはならないが、力の源泉なので維持したいし、変わっていく必要がある。
簡単に言えば、携帯の周辺機器だけではなく、もっと色々なものを売ればいい。しかし、リアルの領域では、ユーザーが便利に使える仕組みがない。そこで電子マネーサービスの「auウォレットカード」を、決済手段として投入した。クレジットカードは本人確認が必要だし飽和状態なので、マスターカードの協力を得て、どこでも使えるプリペイドカードを作った。
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