できる生徒は「ノートの取り方」が型破りだ 知識をノートに覚えさせてもしょうがない

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できる生徒の特徴はノートの取り方にも現れます(写真:msv / PIXTA)

医学部などの難関校に受かる生徒の特徴として、今回は「講義の聞き方、ノートの取り方」という視点から少しお話ししたい。

これも私の実体験を紹介しよう。医学部入試に特化したやや難しい生物の講義を担当していた頃、興味深い生徒がいた。

その生徒は東京の私立中高一貫校出身の男子で、いつも講義室の前のほうに座り、私の話によく耳を傾けていた。こちらに顔を向け熱心に話を聞いている風なので、最初は何ら気にとめることはなかった。

忙しくペンを走らせる生徒が大半の中……

だが、いつしか彼の挙動が気になり始めた。それは、私が黒板に書く膨大な板書を必死にノートにメモしているわけではないと分かったからだ。

ある日のことである。その日は細胞生物学の基本事項を扱う日で、動物細胞と植物細胞の違いについて説明していた。植物細胞では老廃物や色素を含む液胞が発達していること、植物細胞の外側が細胞壁で囲まれている点で両者には大きな違いがあること、またそれ故、植物細胞は光合成に必要な水を吸水しても、まわりを固い細胞壁で囲まれているので破裂しないことなどを、体系的に板書していた。

多くの受験生は私が板書を進めるのに合わせ、せわしない動きをしていた。ノートの上を忙しくペンが走る音が私の背後で聞こえていた。私の板書のスピードに追いつこうと彼らはひたすら手を動かしていたのである。

しかし、件の彼だけは違った。板書の合間に彼の行動をしばし観察してみると、私がしゃべりながら板書している間は私の話に耳を傾け、その後、ササッと少量のメモをノートに取るに過ぎなかった。

次ページ記すのは板書の20分の1程度・・・
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