ホンダ「ステップワゴン」大胆変身に託す真意 かつての絶対王者は「3番手」から脱せるか

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5代目に生まれ変わったホンダ「ステップワゴン」

スクープ情報を耳にしたときから、なにやら変わったミニバンが登場しそうな気配がしていた。ホンダが4月下旬に発売した5代目にあたる新型「ステップワゴン」は、そんな予感を裏切らず、興味深いネタにあふれるクルマとして世に受け入れられているようだ。5月末までの累計受注台数は1万5000台超。ホンダが発売時に掲げた国内販売計画(月間5000台)の約3倍というハイペースな出足を見せている。

スポーティ仕様の「ステップワゴン スパーダ」を含む5代目ステップワゴンシリーズは、とてもユニークなミニバンに仕上がっている。目を引くのは、大きく開く車体後部(テールゲート)に、横開き式のサブドアを備えた独自機構「わくわくゲート」。3列目シートを左右に分割して床下に格納できる「マジックシート」と組み合わせることで、テールゲートを開けずに後ろから3列目シートへ乗り入れたり、荷物の出し入れを容易にしたりできる。従来型はもちろん、他社の競合ミニバンにもなかった画期的な仕掛けだ。

ホンダ初の直噴ターボエンジンを搭載

魅力はそれだけではない。ホンダとして初めて直噴(筒内直接噴射)機構にターボ(過給器)を組み合わせた新開発の排気量1500ccガソリンエンジンや、カメラやミリ波レーダーなどを駆使することをはじめとして事故を未然に防ぐ安全運転支援システムの搭載など、先進技術の採用にも余念がない。わくわくゲートによって左右非対称となったリアスタイルなど、内外装のデザインも特徴的といえるだろう。ちなみに車両本体価格は228万8000~308万1400円である。

ホンダが5代目ステップワゴンで期すのは、販売面でトヨタ自動車「ノア」(カローラ店)、「ヴォクシー」(ネッツ店)、日産自動車「セレナ」(日産系の全店)といった、競合するこのクラスの「箱型ミニバン」市場で挽回することだ。日本自動車販売協会連合会(自販連)の車名別販売ランキングによると、2011~2014年における月間平均販売はノア/ヴォクシー約8900台(2車種計)、セレナ約7300台に対してステップワゴンは約4500台。モデル末期が近づいていた側面はあったものの、ここ数年は「3番手」に甘んじてきた。

かつてステップワゴンは、この分野で圧倒的な王者だった。1996年に登場した初代がこの市場をつくったともいえるからだ。それまでの日本のワンボックス(1BOX)車は、エンジンを座席の下に置いて後輪駆動とする「キャブオーバー」と呼ばれるタイプが主流。対して初代ステップワゴンは車体前部(フロント)にエンジンを配置して、前輪を駆動する「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)」方式を採用することで、床を低くしつつ四隅まで切り立ったボディデザインを実現。その後のホンダの躍進を支える大ヒット車種の一つとなった。

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