ジャニーズ「焦りの報酬放棄」次に予想される事態 「タレントに罪はない」に本人たちも問われる判断

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「企業は人権侵害を問題視しているのに、ジャニーズ事務所は“報酬放棄”という金銭を持ち出した」という印象や、今後の被害者救済には長い時間がかかりそうなことも含め、スポンサーのジャニーズ離れがこれで止まるとは思えないのです。

ジャニーズはファンビジネス推進か

では、ジャニーズ事務所と所属タレントたちには、どんな未来が待っているのか。

民放各局にとって番組のスポンサーとなる企業はビジネスの生命線。広告での起用を控える企業の中には、現在ジャニーズ事務所のタレントが出演する番組のスポンサーとなっているところが多くを占めています。今後その企業が広告とCMの整合性を取るために、「番組スポンサーを降りるか、ジャニーズ事務所のタレントを降板させるか」などの選択を迫られていくでしょう。

ある民放テレビマンに尋ねてみたところ、「どの局もジャニーズ事務所の対応によっては、『バラエティへの出演を更新しない』『ドラマの新たなオファーを控える』というリスクヘッジを考えていると思う」と語っていました。しかし、あまりにもジャニーズ事務所を起用した番組が多いうえに、メディア自ら「沈黙」「忖度」という形で間接的に関与していた後ろめたさもあって、「できるだけ現状維持でいきたい」というのが本音でしょう。

もし広告に加えてテレビ出演が減っていったら、ジャニーズ事務所はファンに向けたビジネスを強化していくのではないでしょうか。ファンクラブ会員への手厚いサポート、リリースとイベント開催の頻度アップ、YouTubeや動画配信サービスへの出演などのファンビジネスを推進。

十分稼ぐことはできる一方で、世間への影響力は限定的なものになり、“国民的アイドルを大量に輩出する事務所”というイメージからは離れていくでしょう。

また、「ジャニーズ」という社名続行を選んだ背景には、そんなファンビジネスへの思いがうかがえました。

7日の会見で藤島ジュリー景子前社長は、「本当にいろいろなことが起きている中でも、まったく変わらず、私どものタレントを応援してくださっているファンの皆様には本当に感謝の気持ちしかございません」「一人ずつのタレントが本当に努力して、そして、それぞれの地位を勝ち取っているので、そこだけは本当に失望もしていただきたくないですし、誤解もしていただきたくないですし、安心してこれからも応援してやっていただきたいと心から思います」などと語っていました。

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