米ドローン攻撃がイエメン崩壊危機を招いた

新報告書が示す米国の「不都合な真実」

4月24日、イエメン首都のサヌアでは、米国のドローン攻撃に対するデモが開かれた(Photo by Mohammed Hamoud/Anadolu Agency/Getty Images)

イエメンが今回危機に陥ったことを受けて、同国でのドローン(無人機)攻撃中心のテロ対策は成功したとするオバマ政権の主張は間違いではないかとの議論が起きている。

実際、新たな報告書「ドローンによる死(Death by Drone)」が示したように、イエメン危機がなくても、米国のドローン攻撃がイエメン市民にもたらした危害を考えると、米国は戦略を再考すべきだ。

肝心な情報は開示されず

米国は少なくとも2002年以来、イエメンでドローン攻撃を実施しており、攻撃回数は推計90~198回に上る。米イ両政府はドローンの正確さを称賛してきたが、攻撃が何回実施されたか、誰が標的になったか、市民の何人が、そして誰が殺害されたのかなどの肝心な情報の開示を拒否してきた。

国防総合大学での13年5月の演説でオバマ大統領は、アフガニスタンの戦争地域以外では、「市民が殺害されたり、負傷したりしないことがほぼ確実でなければ、ドローン攻撃は実施されない」ことを請け合った。

また米国は「米国民に継続的で差し迫った脅威をもたらしているテロリスト」だけを標的にし、「個々のテロリストを捕える能力」があるときはドローン攻撃を行わない、と断言した。

目撃者と生存者の直接証言を含む「ドローンによる死」は、異なる内容を伝えている。この報告書に含まれる9件の事例(うち4件は2013年のオバマ演説以降の攻撃が対象)は、米ドローン攻撃でイエメン市民が殺害され、負傷したことを示す、信頼に足る証拠を示している。

ドローン攻撃のターゲットはイエメンの脅威にはなっていたが、米国の直接の脅威ではなかったかもしれないし、ターゲットのテロリストたちを捕まえられたかもしれない。だが、イエメン市民は、不要かもしれなかったドローン攻撃に苦しみ、命を失ってきた。

次ページ攻撃で息子を失った父親が語る
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。