中田敦彦「松本人志への提言」が他人事でないワケ なぜこれだけ大騒ぎになったのか?

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実際、今回の動画はタイトルに「【松本人志氏への提言】」と掲げながらも、お笑い賞レース「THE SECOND」(フジテレビ系)と同じタイミングで生配信された「オリラジアカデミー」の紹介からスタート。中田さんは「急上昇ランキング1位」を獲ったことなども含め、しっかりPRしていました。

ここに「常にビジネスを視野から外さない」という中田さんのスタンスがうかがえましたし、フォロワー以外の人々から批判を受けやすいところとも言えそうです。もちろん中田さん自身はこの手法が批判を受けることも、ネットメディアが記事を量産することもわかったうえで、そのスタンスを貫いているのでしょう。

今回の動画に対するコメントで最も多かったのが、「言っていることがおかしい」という発言そのものを否定するような声でした。「それは違うよ」と思われそうなことをまるで確信犯のように並べていったのです。

「僕がずっと思っていたことが、松本さんがあらゆる大会にいるんですよ。冷静になって考えてほしいんですけど、『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)にもいらっしゃいますよね。『(人志松本の)すべらない話』(フジテレビ系)にもいらっしゃいますよね。漫談でも大喜利でもいる。何だかんだで『若手を審査する』っていうお仕事がめっちゃ多いんですよ」

「『キングオブコント』(TBS系)にも出て、『M-1(グランプリ)』(テレビ朝日系・ABCテレビ)にもいる。漫才、コント、大喜利、漫談。『全部のジャンルの審査委員長が松本人志さん』という、とんでもない状況なんですよ。他の業界だったら信じられないぐらいの独占状態にあるんですよ」

動画終盤に飛び出した暴論の中身

動画の根幹とも言えるコメントでしたが、ネット上には「『IPPONグランプリ』と『人志松本のすべらない話』は賞レースではない」「松本さんが“審査員”をしているのは『M-1』と『キングオブコント』だけ」という正論のようなツッコミがあふれていました。言わば、クレバーな中田さんとは思えないような主張だったのです。

しかも、「人志松本のすべらない話」は、賞レースなどで活躍できずくすぶっている芸人にチャンスを与ようと松本さんが考えた企画で、「IPPONグランプリ」も松本さんが大喜利をエンタメ化した「一人ごっつ」(フジテレビ系)を多くの芸人に向けて発展させたものでした。つまり、松本さんがお笑い業界や芸人たちのことを考えて作ってきたものであり、しかも審査員ではないなど明らかに違和感だらけだったのです。

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