アマゾン、セブンの寡占化が進む理由

すき間時間を切り売りする時代が来た

「創造時間価値」という点でセブンイレブンは勝ち組だ。

時間効率化から時間快適化へ。企業も個人も「創造時間価値」を追求する時代が来たという。

──時間が資本になるわけですね。

時間は買うものから売るものになり、誰もがわずかな時間を切り売りして活用する時代がやってきた。その影響は消費行動、個人の働き方、企業のあり方にまで及ぶ。

時間を経営資源であり資本だとすると、余分なことに使わず、いかに創造的で豊かな価値のあることに使うのかが大事になる。事業に例えて言えば、民間テレビ放送の番組配分はまさにそう。毎日の放送枠は決まっていて、その24時間の枠をいかに高く広告代理店に売ってもらい、つまらない番組をいかに短縮するかで収益を極大化する。人間もまさに1日24時間、一生を80歳として、その時間枠でどのようなサービスや商品を買い、あるいは売るか。そういう収益極大化モデルに似ている。

高まる「すき間時間」の価値

──わずかな時間を切り売りする?

情報通信技術の進化で、これまでは捨てられていた5分、10分の移動時間や待ち時間という、すき間のような時間の価値が高まっている。実際、私自身移動中にいくつかの決済をスマートフォンで済ませている。すき間時間を有効に使える時間貸しスペースや「時短」をコンセプトにした商品やサービスの開発、空間づくりは、すでにビジネスにつながっている。

松岡真宏(まつおかまさひろ)●1967年生まれ。東京大学経済学部卒業後、野村総合研究所やUBS証券などで、流通・小売り部門の証券アナリストとして活動。UBS証券株式調査部長を経て、産業再生機構に入社し、カネボウやダイエーの取締役として再生計画実行に携わる。2007年フロンティア・マネジメントを共同設立。(撮影:尾形 文繁)

パソコンがない時代からある時代への変化は、まだ固定空間に閉じ込められており、情報量が増えたにすぎなかった。それが現在のスマホのあるモバイル時代への移行によって、誰もが公私混同可能な拡張現実を享受できるようになった。空間制約に縛られないという大きな変化だ。それだけ空間とセットですき間時間を考えていく必要がある。

その際、企業のマーケティングとしてこの変化をどう取り込んでいくのか。従来は生産者と消費者、それに資本家があたかも対立概念のように別々に語られてきた。今は資本市場が発達することでほぼ全員が資本家になりうるし、またほぼ全員が生産者つまり情報発信者になりえ、同時に消費者でももちろんある。まさに三位一体の状態になっている。

──時間価値を加味しないと値付けもできないとも。

従来はすき間時間の時間価値は考える必要がなかった。到着まで10分かかるスーパーに行くことと1分のコンビニに行くことの時間価値の差を以前はさほど考えなくてよかった。今はその差の9分にいろいろなことができてしまう。とすると、商品を買う前後の時間価値を含めて値段を考慮することになる。

今までメーカーが造り、卸を経て小売りが売るというバリューチェーンを効率化することで、たとえば150円のPETボトル飲料を1円でも安くすることにしのぎを削ってきた。その意味自体が相対化される。バリューチェーンで生み出された商品を、いかに消費者に手軽に短時間で届けて素早く消費してもらうか、消費者のライフスタイル全体の中で時間価値の提供をしていかなければいけなくなった。バリューチェーンの生産性より時間価値に重きを置いた値付けに変わっている。

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