GG佐藤、4度のクビを味わった男の再出発

“波乱万丈以上”の野球人生からビジネスの世界へ

18.44mを隔てた戦いは、なぜここまで人の心を揺さぶるのか――。
華やかなプロ野球の世界。活躍した選手には名誉と莫大な報酬がもたらされる。一方で、競争に敗れ、表舞台から去りゆく選手がいる。そんな「戦力外通告」を受けた選手をドキュメンタリーで描いてきたのが、TBSテレビの『プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち』だ。 
12月30日(火)夜22時~に、通算11回目の放送を迎えるこのシリーズ。プロ野球選手の姿は特別な存在ではなく、不況の中では誰の身にも起こりうる“究極のリアル”でもある。そんなクビの宣告に向き合った男たち。今年の放送を控え本編に収まりきらなかったサイドストーリーを3回にわたり、リポートする。
2008年の北京五輪出場時のGG佐藤。日本代表選手の「栄光」を得た直後、まさかの「挫折」を味わった(写真:アフロスポーツ)

今年10月10日、午前0時ちょうど。

1人のプロ野球選手が、自身の公式ブログの公開ボタンとともに、現役生活に別れを告げようとしていた。

「じゃあ、そろそろ押します…」

記事のタイトルは『引退のご報告。そして感謝!』。そして、アップと同時に千葉ロッテマリーンズのGG佐藤(36=本名・佐藤隆彦)がそっとユニフォームを脱いだ。

「引退です」

「本当に、お疲れ様でした」

そんな短いやりとりを交わすことが精一杯だった。取材対象の人生の岐路に立ち会えることは取材者冥利に尽きる。挑戦、挫折、栄光、復活――。しかし、いざ引退となると、さまざまな思いが去来して素直に受け入れられない。

GGがポツリと呟いた。

「よくやった、と言ってください」

この言葉に、彼が味わってきた野球人生の重みを痛いほど感じた。 

北京五輪でまさかの守備ミス

波瀾万丈、ではなく“波瀾万丈以上”。GGの野球人生は、本当に起伏に満ちていた。

その頂点は2008年にオールスターファン投票で両リーグ通じてトップ当選、さらに北京五輪で日本代表となり日の丸を背負ったことだろう。だがその直後に地獄が待ち構えていた。準決勝の韓国戦でまさかのエラー2つ。3位決定戦でも落球して「メダルを逃したA級戦犯」と大バッシングを受けた。「死にたい」と家族にメールするほど精神的に追い込まれた。

それでも復活して年俸1億円プレーヤーになったり、過呼吸症候群で倒れたり、異国の地イタリアで野球をやったり、帰国後に千葉ロッテで奇跡の日本球界復活を果たしたり――。まるで終わりの見えないジェットコースターのように、激しい上下動を繰り返し続けた現役生活だった。

その過程で、幾度となくクビを宣告された。

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