「日中関係改善のため、首相は戦争を詫びよ」

米専門家が語る"日中関係の今後"

2人が握手する場面は、複数回あった。写真は11日の首脳会談を前に(写真:新華社/アフロ)
日中首脳会談を、米国の外交専門家はどのように見たのか。緊急でコメントを求めた。まずは、ロバート・マニング氏。マニング氏は、大西洋評議会 (アトランティック・カウンシル) のブレント・スカウクロフト国際安全保障センターの上級研究員。1997年から2001年まで、外交問題評議会のアジア研究担当ディレクターを務め、朝鮮半島および東南アジアの政策研究タスクフォースを率いたアジア専門家であり、ブッシュ政権下の2001年から2008年まで米国務省に勤務で国務次官補上級顧問などを務めた人物だ。同氏は、正常化が進展するためには、安倍首相が歴史認識に対する発言や靖国参拝などを慎むべきだ、と強調する。

 

――日本の安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の会談実現は、日中関係が進展しことを意味するのか。

進展は言い過ぎで、「リセットされた」と言った方が、今回の首脳会談を表す言葉として妥当だと思う。両国は今回、関係改善のきっかけとなる「4項目合意」なるものを得た。これは中国がアジア太平洋政策を見直している、という文脈からみると、わかりやすい。例えば中国は、ベトナムとの対立から手を引きつつある。オバマ大統領と習近平国家主席によると、米中関係においても明るい前進がある。中国は、日本やその他の周辺地域の国々と、積極的、協力的な関係を築こうとしているようにみえる。

――首脳会談に先立って出された両国の声明では、どちらも「勝利」としているが、これは同時に、両国の埋まらない溝を浮き彫りにした。

別々の声明は、同意文書に対して、それぞれの解釈を付けるための策だった。日本外交の勝利とみることができるだろう。日本政府の交渉担当者は、日本の尖閣諸島領有権に対して中国が異議を唱えていることを日本が認識しているようにみせている (が、実際には認識していない)。両国が互いに譲歩させ合いながらも、必要とする最低ラインを押さえた。

――関係修復をしつつも体面を保つため、声明の差異はある程度意図的であったか。

私は、意図的であったとは言わない。声明の差異は、外交上の「言葉のやりくり」の結果であろう。

尖閣諸島はどうなるのか

――中国は、日本との関係改善のため、尖閣諸島領有権の主張を本当に控えるつもりだろうか。

中国が尖閣諸島の領有権主張を単純に諦めることはありえない。中国は、おそらく今までよりは抑えたレベルであるものの、同諸島周辺での空海軍の活動を続けるだろう。中国政府はこの問題を別の機会で話し合うつもりのようだ。

ただ、あらゆる関係を犠牲にして領域問題を話し合うつもりはない。両国間関係のその他の要素 (経済、外交連絡、軍と自衛隊のコミュニケーション、議員懇談、その他の交流) は正常に戻る可能性がある。日中関係の緊張が危険なレベルにまで落ちていることに両国が共に気が付いたのだと思う。

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