「日中関係改善のため、首相は戦争を詫びよ」 米専門家が語る"日中関係の今後"

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――なぜ中国は、日本との関係を修復しようとしたのか。

中国は、東・南シナ海での積極的な活動によって、インドからベトナム至るアジア中が中国の目的に対して心配を生むと見てとった。これは、同地域の各国やアメリカとの協力関係を弱めた。例えば、中国への対抗策・防衛策として、日本とフィリピン、そしてインドとベトナムはそれぞれ関係を強化し、安全協定のネットワーク作りを始めた。

中国政府は公に、アメリカの「ピボット政策」の責任にしているとはいえ、中国の政策がこれ以上逆効果になることは許されない。さらには、APEC開催国として、ホスト国として素晴らしい、協力的なパートナーだと見られよう努力したことは、アジア地域における中国の立場を見直す機会となった。また恐らくは、同地域における緊張を和らげ、中国のイメージを磨くことを目的とした自らの「リバランス政策」を実行する機会にもなった。

この数年間で、日本からの中国への投資が40%減ったという事実も、恐らくは一つの要因であろう。

中国政府の誤算

――「アメリカのリバランス政策」や日米防衛協力の見直しが中国の政策に影響を与えたのだろうか。

2年以上前、中国が尖閣諸島への緊張を煽り始めた時に、中国側は、日本が圧力に耐えきれないだろうと考えた。そしてもし日本が屈したら、中国にとっては、南シナ海を思い通りにできると考えた。中国政府は大きな誤算をし、対立の悪循環が始まった。

中国政府は、中国は「被害者」だと言いふらし、アジアにおけるマイナスの発展をアメリカの「リバランス政策」のせいにした。しかし逆効果だった。この中国の行動こそが、同地域でのアメリカの役割強化の要望を生んだ。アメリカのリバランス政策は大体において、「要望に突き動かされ」たものであった。

中国政府は、日本の国家安全保障の変更や、日米同盟の更新を驚愕して見てきた。おそらく中国は別の言い方をするかもしれないが、記録によれば、尖閣諸島への積極的な介入は、アメリカのリバランス政策や日本の政策の変換よりも以前から行われている。

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