新首相よ、中国の罠にはまるな

パトリック・クローニン氏が語る日中関係

香港返還15周年を祝した、人民解放軍の軍事パレード。中国の軍拡が、周辺諸国の不安をかき立てている(写真:Imaginechina/アフロ)
12月16日に投開票される衆議院選挙。その大きなイシューの1つは、日中関係である。中国では11月に、習近平新政権が正式に発足。これから日本でも新たな政権が生まれる可能性が高い。
日本にとって、中国との紛争を避けるために重要なことは何か。日本はどのような戦略をとるべきか。新アメリカ安全保障センター(CNAS)の上級顧問でアジア太平洋プログラム上級部長を務める、パトリック・クローニン氏に聞いた。

 

――中国では、何らかの戦略転換が起きているのでしょうか?

中国は戦略的アプローチの見直しを行っているように思える。

その多くの部分は見えてこないので、正確な判断は難しい。ただ、ここ数年の中国の強硬な行動は、鄧小平が唱えていた「能力を隠して時間を稼ぐ」という戦略の見直しが進んでいることを示唆している。

中国では軍事力が増大し、経済が拡大したことによって海上交通路など外国との新たな利害関係が生じている。また地域の情勢が自国の国益を脅かしかねないとの見方をするようになり、中国国内では多くの国民が、「時間を稼ぐ」戦略の見直しを主張しているようだ。

そこで主張されているのは、今こそ中国にとって、「いじめられる立場を脱却し、自己主張を強め、国益をつかみ取るときが到来した」というものだ。

中国は、ペルシャ湾、アフリカまで視野に

東シナ海および南シナ海における中国の勢力拡張は、今後起こりうる事態の前兆となっている。つまり中国は、沿海地域で海洋進出を図るだけではなく、海上交通路をペルシャ湾やアフリカにまで拡張することも視野に入れている。

このような見方は、中国国内にある種々の分析を深読みするものかもしれない。しかし私が見るところ、中国では少なくとも何らかの見直しが進行中だ。いずれにしても、中国の強硬姿勢の高まりはこの地域、とりわけ日本との間で緊張を生み出している。

そのため、米国の政策がどの方向に向かうのかに関して、さまざまな議論がなされている。米国はこの地域から手を引こうとしているのか。米国はこの地域にとどまることができるのか。

中国がこの地域で強硬な姿勢を強めている現在、これら難問や課題の重みが増している。

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