ヤンキーの気合い、日本の農業に挑む

バイクからトラクターに乗り換えた男たち

取締役の長山さん(左)と一緒に小松菜の生育具合を見回る田中さん

「バイクを乗り回してたらパトカーに追っかけられて無免許で捕まっちゃって。そしたら警察署で迎えに来た父親におまわりさんの前でボコボコに殴られちゃって……」。苦笑しながら“その頃”を述懐するのは田中健二さん(36歳)。現在は千葉県富里市で農業生産法人ベジフルファームを経営。“元ヤンキー”の同級生を含め、社員やパートら総勢約20人を率いて、業界に新風を吹かせようと奮闘している。

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ベジフルファームのホームページ。インパクトあるデザインだ

父親と10歳以上離れた兄は農産物市場の運営会社を千葉県内で経営。中学・高校時代、坊ちゃん育ちで自由過ぎたのかヤンキーグループの一員で遊び回り、警察のお世話になったことも。一時期、美容師を志したこともあるが、高校卒業後は父の会社に就職。「今でも苦手」な早起きには苦労したが、青果の仲卸や営業を担当。閉鎖的な業界にあって見知らぬ業者に警戒する農家も多い中、ヤンキー時代からの人当りの良さで仕入れ先を次々に開拓。23歳で結婚し、営業マンとして公私ともに順風だった。

ところが数年前、転機が訪れる。西日本のみかん農地に出張した際、イノシシやサルたちで荒れ放題のみかん山の光景に言葉を失った。後継者がいないのだ。「見るからに生産者が減っている。若者が何とかしないといけない」。すでに地元でも後継者不足で離農する動きは実感していた田中さんは流通から生産へ進出することを決意。1年間、知人の農家に小松菜づくりを学び、父に掛け合って“社内ベンチャー”の形で畑も用意。2012年4月に生産法人を設立した。

かなりヤバイ! ニッポンの農業

ニッポンの農業がヤバイのか!?――。

現場にいる田中さんならずとも、都会に住む生活者もデータをみれば一目瞭然だ。もっともヤバイのは高齢化と後継者不足。過去5年だけで289万人から50万人も減少。これは都内自治体で多摩地区最大の八王子市の人口に匹敵する。しかも平均年齢が66.2歳!というから、企業ではとっくに“定年”を過ぎた人が中心になっているのだ。

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