農家の生き様をネットで伝える男たち

社会・消費者との新しい関係性構築

 インターネットが普及して20年、広告業界では近年「オウンド(自社)メディア」という言葉を耳にする。個人や企業が自前のメディアを作り、SNSの発達と相まってマスメディアと違う視点からの情報発信を拡充する波は農業の世界にも及ぶ。しかしメディアは所詮「器」であり、カギになるのはコンテンツだ。
 連載第2回は、出版・広告業界で活躍するなかで農業に魅了された新進気鋭の写真家と、原発事故後の風評被害打破に尽力する若手農家を紹介し、農業の新しい 「伝える」をレポートする。
有機農家を撮影した公文健太郎さんの作品。35ミリレンズだけで圧巻のショットを撮り続ける
 

ホリエモンを撮った男が農業にハマる理由

「農業を撮っていなければ、日本の四季がこんな面白いとは思わなかった」。写真家の公文健太郎さん(33歳)は近年、各地の農家や農村を撮り回っている。大学時代からドキュメンタリー写真や商業写真のベテランカメラマンに師事し、22歳だった2004年1月、初の写真展を開催。その後は、雑誌や書籍、広告、ウェブサイトなどで撮り続け、この間、堀江貴文氏の『ゼロ』や『外資系トップの仕事力』など、ビジネスパーソンおなじみのベストセラーの写真も手掛けた。その公文さんが、新たな「ライフワーク」に打ち立てたのが、変革期を迎えた日本の農業の風景を撮り続けることだ。

農家との付き合いが始まったのは5年前。JAグループの出版団体が発行する雑誌「家の光」で連載「ふるさとの台所」を持ち、各地の農家のお母さんたちの手料理や食材の収穫を撮影したのがきっかけだった。そもそも写真家を志したのは学生時代に訪れたネパールの風景や人物に魅了された原体験。日本の農村には彼の地を彷彿とさせるものがあった。

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「土地に住む人々の思いを感じる風景を切り取りたい」と話す公文さん

「食べなさい」「持って帰りなさい」――撮影中でも優しく接してくれるお母さん。農作業を取材していても「これは何の苗ですか?」といった門外漢の自分からの初歩的な質問に嫌な顔をひとつせず、教えてくれる。農家の人柄に魅了され、やがてプライベートでも訪ねるようになった。

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