地方都市は「ほどほどパラダイス」になった! 地方の若者におけるイオンモールの存在感

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ぬるま湯の「マイルドヤンキー」にも不安が……

――もう地元を捨てて、大都市に出ていく必要がない。

最近、博報堂の原田曜平くんが言っている「マイルドヤンキー」って、まったくそうですよ。「ハードヤンキー」はもう少し、しがらみの中で生きていたと思いますが、マイルドヤンキーはしがらみがないので、大人から見ると若干、頼りなく映るかもしれません。都会に出ていく連中よりガツガツしていないですから。こうした、ぬるま湯的な居場所が地方にできたというのが、2000年以降の状況です。

ただ、今の若い子たちは、友達や親と仲良くして、イオンモールに行って、現在の生活をぬるく楽しんでいるふうに見えますが、将来への不安も感じています。

その背景には、収入の低さがあります。仕事に対する満足度について調査したところ、単身者の年収の中央値は200万~249万円。主にサービス業に従事している若者たちですが、やはり300万円に満たないと、地方といえども生活が厳しい。親と仲良くして実家にパラサイトするのは、生きる知恵のひとつなのです。親と同居している単身者の、親の収入も含めた世帯収入は600万円以上ですから、ひとりではなかなか生活できないけど、親と一緒なら生活できます。

しかし、彼らは収入面の満足度が低いだけで、やりがいや人間関係に関しては満足度が異様に高いのが特徴です。特に、サービス業の場合は人が相手なので、やりがいを感じやすい。それが収入面の不満をカバーしているところがある。いわゆる「やりがいの搾取」です。つまり、地方の若者は、金銭的には親が支え、メンタル的にはやりがいが支えている。

でも、友達と家族との人間関係しかない中で、この先、結婚して子育てができるだろうかとか、親の介護が必要になったときに、介護施設なんてどこも知らないのに、自分ひとりで大丈夫なのだろうかと不安を感じています。

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