「マイルドヤンキー」の一歩先へ
4月27日放送の「文化系トークラジオLife」のテーマは、「マイルドヤンキー限界論~“ジモトでまったり”では生きられない時代に必要な力」。
マイルドヤンキーとは博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんが著書『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』の中で使った言葉で、「上京志向がなく、地元で強固な人間関係と生活基盤を構築し、地元から出たがらない若者たち」を指す。ネーミングの妙もあり、「マイルドヤンキー」は今ちょっとしたバズワードとなっている。
ただ、地元志向の若者が増えているという指摘自体は社会学などで以前からあり、「Life」に出演する鈴木謙介さんはカタカナの「ジモト」、速水健朗さんは「再ヤンキー化」という言葉でこのような現象に言及し、番組でも話題にしてきた。そこで今回は、議論をもう一歩先に進めてみようということになった。
低成長時代の消費の主役としてマーケティング方面から提起されたマイルドヤンキーだが、人口減少による地方の衰退が進む中、このまま「ジモトでまったり」が維持できるだろうか? むしろマイルドヤンキー的な生き方すら難しい時代になっていくのではないか?
そんな問題意識から、“これからの社会”を生きるにはどのような力が必要か、というテーマを設定した。
放送では、社会学者の古市憲寿さんやNPOカタリバの今村亮さんなどをゲストに招き、さまざまな議論が交わされた。
たとえば、「これからの社会には“移動力”が必要なのでは」という意見が出た。
知的産業が集積する地域ではサービス業などの給与も上がるため、地元で生活が立ち行かなくなったとき、そこに移動できるかどうかが一つのポイントになるかもしれない。移動により人材の攪拌が起こって、新しい視点やアイデアが生まれる可能性も高まるという。
議論を聞いていてふと思い当たったのは、社内という地元から「移動」することできっかけをつかんだ僕自身の経験だ。移動といっても転職したわけではない。「視点の移動」とでも言えばいいだろうか。
以前も書いたが、入社当初の僕は放送局の価値観になじめず、その後も自身の資質をうまく表現できずにいた。
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