会社に期待されてないときがチャンス!

みんなの注目を集めてないからこそ、実験的な試みもできる

「じゃあ、もう好きにしろ」→実際、好きにしたら……

会社に入って初めて、自分のやりたいように作ったラジオ番組が「文化系トークラジオLife」だ。2006年に始まり、もう8年目になる。ギャラクシー賞ラジオ部門の大賞を獲得して、書籍にもなり、現在の僕のメインの仕事である「荻上チキ・Session‐22」にもつながった。

しかし「Life」は、会社からはさして期待されていたわけでもなく、けっこう不憫な扱いを受けてきた番組なのである。

そもそもが、ナイター中継の放送枠が空くプロ野球オフシーズンの半年間限定ということで始まった番組だった。一般的な知名度のほとんどない若手の学者やライター、編集者らが社会や文化を語る土曜夜8時からの1時間。このスタイルは、どれだけ支持されるのか?

企画書は通ったものの、自分でも正直厳しいだろうと思っていた。

編成部長からは、テレビ番組のキャスターとしてもすでに実績を持つ、経験豊富なある人物をパーソナリティに据えるよう打診された。だが、それでは僕が作ろうとしている番組にはならない。「だったら、この企画書は引っ込めます」と啖呵を切って、「じゃあ、もう好きにしろ」と半ばあきれられながら、僕と同世代の若き社会学者、鈴木謙介氏をメインに据えた異色の番組がスタートしたのだった。

聴取率調査の結果は、やはり厳しいものだった。2回連続惨敗し、3回目の聴取率調査週間の際には、編成部の判断で別の特番に差し替えられるというありさま。チャンスで打席が回ってきたのに代打を出されたようなものだ。要するに番組としては失格と判断されたのである。

特番に差し替えられた代わりの放送は、一応させてもらえることになった。移った先は、日曜深夜の「放送休止枠」。機器のメンテナンスなどのため通常はラジオ放送を停止する時間帯で、聴取率もあまり気にされない。ここなら、「Life」でもまあOKということだ。

しかし、これが番組存続につながるきっかけになったのだから、何が幸いするかわからない。このときの放送では、リスナーからのメールが急増し、生放送が終わる頃には、スタジオの床が、メールのプリントアウトでいっぱいになっていた。

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