会社に期待されてないときがチャンス! みんなの注目を集めてないからこそ、実験的な試みもできる

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注目されていないから、思い切って挑戦できる

ほかのラジオ局のほとんどが放送を休止しているため、リスナーが集中した。そして、放送時間が長くなったことで番組のよさが引き出されるようになり、ネットなどでの反響も増えた。手応えを感じた僕は放送休止枠での番組存続を直訴。

編成部も「この時間帯ならありかもしれない」と判断し、半年で終わるはずだった「Life」は、月1回、日曜深夜の生放送番組として生き残れることになったのだ。

毎週土曜の夜の番組から、月1回、日曜の深夜番組へ。普通に考えれば随分な降格だ。予算は少ないし、宣伝部のバックアップもない。しかしこの時間に移ったからこそ、「Life」は独自の個性を育んでいくことができたのだと思う。

ゴールデンタイムの番組は、社内でも注目され、いろいろと口を出されがちだ。しかしさすがに放送休止枠まで聴く人は少ない。だからこそ社内の評価や数字をさほど気にすることなく、思い切った企画やキャスティングをすることができ、その結果として、数多くの若手論客たちを生み出す番組に育っていったのだと思う。

自分の仕事と会社の期待が一致していれば、恵まれた環境が与えられる。大規模なプロジェクトを実現するには、会社の期待を得られるよう説得力のあるプレゼンを行い、その期待に応えていくことが必要だ。

だが、会社から期待されず、むしろないがしろにされるのも案外悪くない。そんなときこそ、規模は小さくても実験的な試みで新しいものを生み出すチャンスなのだから。

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/4/19号:本業消失

 ☆★☆放送のお知らせ☆★☆
次回の「文化系トークラジオLife」は、
4月27日(日)深夜25時~(28日1時~)TBSラジオで。
インターネットでも
radikoやUstreamで聴けます。

テーマは
「マイルドヤンキー限界論~"ジモトでまったり"では生きられない時代に必要な力」

最近「マイルドヤンキー」、「ヤンキー経済」という言葉が流行っていますが、Lifeでは2008年から同様の指摘をしていました。しかしもはや、マイルドヤンキー的な生き方が維持できない時代になりつつあるのではないか? という危機感のもと、“これからの時代に必要な力”を考えます。

 

長谷川 裕 TBSラジオ プロデューサー

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はせがわ ひろし / Hiroshi Hasegawa

1974年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、1997年にTBS入社。2001年からTBSラジオの番組制作を担当し、「荻上チキ・Session-22」、「菊地成孔の粋な夜電波」、「森本毅郎・スタンバイ!」、「アクセス」などの番組を手がける。2006年に立ち上げた「文化系トークラジオLife」は、優れた放送番組に贈られるギャラクシー賞大賞を受賞(2008年)、同番組では「黒幕」としても活躍している。共著書に『文化系トークラジオ Lifeのやり方』、『文化系トークラジオLife』などがある。@Life954

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