豊田通商、「近大マグロ」をビジネスに

近畿大学と協力、クロマグロの卵から稚魚まで育成

豊田通商と近畿大学がタッグを組んだ。クロマグロの卵から稚魚までを育てる

豊田通商は近畿大学との技術協力を拡大し、クロマグロの卵から稚魚まで育てる人工種苗事業に進出する。

近大は2002年に世界で初めて、マグロの成魚を産卵させ、卵を採取し、その卵から育てた成魚を産卵、ふ化させる、循環型の完全養殖に成功した“養殖マグロ“のパイオニアだ。かたや豊田通商は、2010年に近大と技術提携し、長崎県五島市でクロマグロの稚魚から体長30cmほどの幼魚(ヨコワ)まで育てる、中間育成事業を行ってきた。

今回の提携拡大で、豊田通商も、クロマグロ養殖のさらに上流、稚魚育成も手掛けることになる。

豊田通商は100%出資で設立した会社が五島市に稚魚育成用の水槽を建設。6年間で15億円を投じ、2019年度には30万尾の稚魚を生産することを目指す。近大は技術員を送り、ノウハウを指導する。提携には、「近大マグロ」の輸出など、海外展開での協力やマグロ以外の魚種での養殖も入っている。将来的には海外でのクロマグロの完全養殖も視野にあるという。ただ、他の魚種や海外養殖について、具体的な計画はない。

死亡リスクを大幅軽減

2019年度には近大、豊田通商を合わせて、稚魚の生産能力は70万尾へと大きく拡大する。ヨコワの生産量も大きく増やすことができる。

というのも、近大がクロマグロを完全養殖している和歌山県と鹿児島県奄美大島の2拠点から、豊田通商が五島で行っている中間育成養殖場へと稚魚を輸送する際に、約50%の稚魚が死んでしまうからだ。体長5cm程度の稚魚は非常に繊細で、波の揺れでパニックを起こし、水槽の壁に激突するなどしてしまうという。が、中間育成に近い場所で稚魚育成を行うことで、輸送中の死亡リスクを大幅に軽減できる。海面生簀で行う中間育成の生残率は、近大が研究を開始した当初は0.1%だったのが、生簀の大型化や夜間電照などの工夫で、30%まで改善している。投入稚魚を増やせれば、ヨコワの生産が大幅に拡大できる。

当面、卵は主に近大の奄美大島から仕入れるが、将来的には近大の技術指導の下、五島で親魚まで育成し、受精卵を採集する完全養殖を行う予定だ。

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