さかなクンが語る、漁業の現状 漁獲量が減少する中でお魚とどう向き合うか

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「お魚は食べているけれど、お魚から遠くなっている」と話したさかなクン
日本では水揚げされる水産物の量が年々減少している。将来に世代をつなげる幼い魚まで獲ってしまうなど濫獲が原因の一つだが、その魚を食べる私たち消費者も、水産物の食べ方や選び方を見直すときにきているのではないだろうか――。そんな疑問を、魚をこよなく愛するさかなクンにぶつけてみた。

 

――日本の水産物の資源状態についてどう思いますか。

日本各地でいろんな漁場を見せていただいたり、漁船に乗せていただいたりしています。「すギョいいっぱい獲れてる!」と思っても、実際はいつもより少ないということもあります。例年とどう違うのかは専門家や浜の方に聞くのが一番重要かなと思っているところです。

近年は日本近海の水温上昇とともに獲れるお魚の種類や旬自体が変わってしまっているとよく聞きます。たとえばサワラですね。西日本のお魚というイメージがとても強いですが、最近は三陸や日本海側の港にサワラが大量に水揚げされている光景を目のあたりにすることが多いです。漁師さんに聞くと「サワラなんてこっちでは以前はそうめったに獲れなかった」とおっしゃっていました。獲れる漁場が変わっているんですね。

旬がなくなっちゃう

多摩川のアユは秋に産卵するんですが、水温が下がりきらないので翌年の春に産卵することもあるらしいんです。赤ちゃんは生まれると旅をして海へ行き、プランクトンを食べて春にギョセンチ(5センチ)くらいになると戻ってくるんです。産卵時期が遅れると、海の水温が上がる前に戻ってこなければならず、成長しきれなくて、どんどんアユがちっちゃくなっているんです。

こうやって獲れる魚種が変わり、旬が変わり、ひいては漁獲量が変動してしまっているんだと思います。

――消費の現場はどう変わっていると思いますか。

 漁師さんがお魚を獲ってくださり運んでくださる方がいるから、私たちがおいしいお魚をいただけると思うんです。自分たちにちょっと欠けているなと思うのは、食べることへの感謝の気持ちとか、食材がどこからどうやって私たちの食卓まで運ばれてくるか知る機会がない、あるいは知ろうと思わないようになってきているのかなと思うんです。

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