地方の産業は「中抜き」すれば生き返るか? チーム制で作る、新しい「6次産業」

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
拡大
縮小
よくコンサルタントの方が提案する「中抜き」。それで万事、うまくいくのか?

「“100均”の店って、どういう仕組みなの? なぜそこそこいいものが100円玉ひとつで販売できるんだろう」

僕も家族も、100円均一の店が大好きで、以前からよく買い物をしていた。

ただ最近は自分が1次生産の現場に触れたり、商品開発に携わるようになり、あらためて考えてみて、ゾッとしていた。もしかしたら、どこかで誰かが強烈に買いたたかれ、負担を負わされているんじゃないか――。そんな思いがよぎるのだ。

「石巻の鮭はおいしくて、すぐ近くでとっているのに、なぜ地元のスーパーでは、チリの鮭を激安で売っているのか」

近頃はスーパーに行っても、鮭を見かけるたびに、そう考えるようになった。以前は生産地なんて、ほとんど気にしたことがなかったのに……。近所なら輸送費もかからず、安く売れるはずだ。それなのに日本から遠く離れたチリの鮭を取り寄せて、しかもあれほど安く販売している。

「どうしたらモノを適正な価格で売ることができるか」

「誰かに負担をかけることでなく、持続できる商売をどのように展開していったらいいか」

「復興デパートメント」に携わるようになってから、それをすごく考えるようになった。

漁師さんなど1次生産者の方と仲良くなると、その工程を実際に見聞きするようになる。すると、当たり前のようにテーブルに並ぶ食品に、どれだけ人の労力やおカネがかかっているか思い知る。

東京本社勤務の頃は、Yahoo!ショッピングやヤフオク!のプロモーションを担当していて、「ポイント○倍祭り!」とか「○○%バーゲン!」などとにかく商品を値下げしてサイトを盛り上げていく「祭り担当」が僕の仕事だった。

一方、今は、「復興デパートメント」で、取り扱っている商品一つひとつに込められたストーリーを紹介し、よいものを適正な価格で売ることに挑んでいる。

次ページそんなに単純じゃない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT