ヤフーの“右脳”が開発した、「さわれる検索」

「クジラ」と言えば本当に“クジラ”が出てくる!

 博報堂ケトル共同CEOの嶋浩一郎が、今、注目する広告・マーケティング業界の最新事例に迫る連載。新しい試みに挑戦する上司と部下にインタビューし、チーム作りや新しいアイデアを生み出す秘訣を聞く。
 今回取り上げるのはヤフー。言わずと知れたIT業界のガリバー企業。検索エンジンを中心に、ショッピング、宿泊予約などさまざまなサービスを提供している。
 ヤフーはこれらのサービスに広告をひもづけ利益を上げている。この広告を統括する部門であるマーケティングソリューションカンパニーがまったく新しい検索サービスを開発・発表した。音声入力によって認識されたデータを3Dプリンタで出力する「さわれる検索」だ。このプロジェクトは筑波大学附属視覚特別支援学校(盲学校)に検索マシンを設置し、目の見えない子供たちが立体物を触る体験を提供した。
 これらの活動の背景には、今までテクノロジーを重視してきたヤフーの広告部門にアート的な発想を取り入れようとする動きがあるようだ。3Dプリンタが家庭にも普及すれば「さわれる検索」を利用したさまざまな広告展開も考えられる。“見る”“聞く”が主流だったインターネットの情報利用に“触る”という概念をプラスしたのはどんなチームだったのか?
 テクノロジーにアートの発想をプラスしたプランニングを推進するヤフー執行役員でマーケティングソリューションカンパニー長の荒波修氏。そして、「さわれる検索」プロジェクトを現場で推進したクリエイティブチームリーダーの内田伸哉氏に話を聞いた。 
盲学校に設置された「さわれる検索」マシンは児童たちに大人気。使用された3DプリンタはMaker Bot社のReplicater2

 今回登場する上司と部下は?

荒波 修(あらなみ おさむ)●ヤフー株式会社 執行役員。マーケティングソリューションカンパニー長。神奈川県出身。神奈川大学卒業。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。デル株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、日本ラドウェア株式会社などを経て、2007年オーバーチュア株式会社入社。2008年、オーバーチュア株式会社の吸収合併によりヤフー株式会社へ転籍。リスティング広告事業の本部長などを経て、2013年4月より現職。
【今回の凄腕マーケッター <上司>】
執行役員 マーケティングソリューションカンパニー長
荒波 修氏
■ アイデアを考えるために心掛けていることは?
つねに消費者の目線を忘れないこと。
新しいもの(ガジェットとか)はとりあえず試してみる。
■ 座右の本とその理由は?
『Marketing Management』や、最近だと『Marketing3.0』などフィリップ・コトラー氏の著作は古典的定番としてよく読んでいました。あとは、事業責任者として参考になることが多いため、三枝匡氏の『V字回復の経営』(日本経済新聞出版社)は何度も読み返しています。
■ 好きなテレビ番組とその理由は?
テレビはすっかり見なくなりました。面白い番組がないので、HuluやGyaOでドラマなどはよく視聴しています。NHKオンデマンドには興味があります。
■ 参考にしているWebサイトとその理由は?
手前みそで恐縮ですが、やはりヤフーです。あとは業界ネタが豊富なのでTechCrunchをよく見ています。
■ マーケティングを一言で表現すると?
ユーザーとの中長期的な関係を構築するための包括的な仕掛け。お客様に商品やサービスを買ってもらい、使って気持ちよくなっていただく。そして、できれば周囲にオススメしてもらう。皆に長く使ってもらえるようにするための仕掛けだと思います。

 

内田伸哉(うちだ しんや)●ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室 クリエイティブチームリーダー。神奈川県出身 慶応義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。株式会社電通のプロデューサー、コピーライターを経て2012年2月にヤフー株式会社に入社。コーポレートコミュニケーションから新規広告枠開発まで、対外的に発信する表現のプロデュース、ディレクションを行う。受賞歴:カンヌ国際広告祭、ONE SHOW、文化庁メディア芸術祭、朝日広告賞他多数。
【今回の凄腕マーケッター <部下>】
マーケティングイノベーション室 クリエイティブチームリーダー
内田 伸哉氏
■ マーケティングのアイデアを考えるために心掛けていることは?
普段考えていないことを考えること。
■ 座右の本とその理由は?
『虚人魁人康芳夫』(学習研究社)。とんでもないうそつきでぶっ飛んでいて世の中を沸かせるエンターテイナー康芳夫の自伝。人々を巻き込んでトレンドを作るときに、異常な執念とアイデアが必要だと奮起させられる本。
■ 好きなテレビ番組とその理由は?
「サザエさん」。目的も結論もなく過程や日常しか見せない日本特有の文化を象徴したような世界でも珍しい作品だから。あと単純に面白い。
■ 参考にしているWebサイトは?
Gigazine、Criatibity-online、ハムスター速報、Google、Livedoor、アメブロ、 Yahoo(アメリカ)などなど。共通する理由は、Web上で個性を発揮している。
■マーケティングを一言で表現すると?
感情と金銭の交換。お客様を気持ちよくもてなした分、対価としておカネをもらうこと。
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