大学は甲殻動物から脊椎動物になった?? 古市憲寿×吉見俊哉対談(下)
大学は甲殻動物から脊椎動物へ!?
古市:これから大学変革の主体がいない中で、大学はどう変わっていくのでしょうか。
吉見:もっとも重要なのは、基本的なビジョンの共有ですね。未来の大学は、比喩的に言うと「甲殻動物から脊椎動物へ変わるべきだ」と思っています。ちょっとわかりにくい(笑)。
日本の大学は、甲殻動物のように殻が硬く、内側が融通無碍というところがあった。典型が「大学入試」で、入るのは難しいけど、入ってしまえば卒業は簡単だと思われている。入るまではあまり中のことは考えない。大学組織も、それぞれの学部、学科、研究室が分かれていて、お互いにできるだけ干渉しない。これは日本社会にも言えることで、会社組織など「殻」が硬い社会だと思うのです。
一方、1980年代から日本社会が体験してきたのは、グローバリゼーションです。さまざまな意味でのボーダレス化が進み、硬い「殻」が壊れつつある。殻が壊れてくるときに、ただ壊れるままにしておけば、ずぶずぶの軟体動物のようになってしまい、質が劣化していきます。
大学の質の悪化を防ぐには、「殻」を壊れさせながら、「骨」を通して、脊椎動物化する必要があります。さらに「縦骨」と「横骨」を通すことが重要になってくるのです。