ニッポンの大学の”ジレンマ”とは?

古市憲寿×吉見俊哉対談(上)

 大学のこれからとは――。
 2013年9月、NHKのEテレ「ニッポンのジレンマ」で放送され、大反響だった「大学論」。今週末の27日(日)0時から、その第2弾「“救国”の大学論2014」が放送される。今回のテーマは「大学活用術」。これからの大学が進むべき方向性について、スタジオでは、1975年以降生まれの大学内外の論客が議論する。論客には、中室牧子(教育経済学者、慶應義塾大学総合政策学部准教授)、山崎大祐(マザーハウス副社長)、横田幸信(イノベーション・サイエンティスト、東京大学i.school)、與那覇潤(日本史研究者、愛知県立大学准教授)と気鋭の人物が並ぶ。
 記事では、先行世代代表のキーパーソンとして番組中にも放送される、東京大学副学長の吉見俊哉(東京大学大学院情報学環教授)への番組MCの社会学者・古市憲寿氏のインタビューを抜粋して掲載する。
 

ボロボロに見えた大学教授の姿

古市:僕は、吉見先生の授業を受講したことがあるのです。大学院に入った頃に、「吉見俊哉を叩きのめせ」という授業でした。吉見先生が書かれた論文や本を読んで批判するという、面白い授業でした。

吉見:そうだったのですね。科目名は英語で言うと「アタックミー」。いい日本語がなくて(笑)。授業では私が書いた論文や本を「叩き台」にしましたが、要約するな、褒めるな、賛成するなという規則があって、理論的批判からあら探しまで何でもいいから私への攻撃を学生がみんなでするという授業でした。方法論のトレーニングとして教育効果があるんです。

古市:授業はとても面白かったのですけど、いつも吉見先生が会議などの学事でボロボロになってやってきて、学生から授業でボコボコにけなされて、またボロボロになって帰っていくという(笑)。「大学の先生って、こんなに忙しいんだ」と驚いたことを覚えています。今もお忙しいですよね。

吉見:そうですね。私は副学長という立場ですが、「組長のパシリ」と自分では言っています。東大は、教育改革を進めるにも、さまざまな学部、研究科と、数多くの調整をしないと全体がまとまらない。だからこそ、誰かが調整役としていくのですが、これは「アタック・ミー」よりもよほどつらい立場ですね。調整をしている間にもっと「ボコボコ」になる。それが私の役割です。

東大に限らず、日本の国立大学、総合大学の問題のひとつは、一つひとつの学部や学科、研究室がとても自立的なので、ユニバーシティとして統合していくのがものすごく難しい組織ですね。

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