STAP騒動に見る、一流教育機関のあり方 悪いと思ってなかった、小保方さんの不正論文

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 グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。そんな中、人気コラム「グローバルエリートは見た!」の筆者で、『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』の著者であるムーギー・キム氏が後継者を募集。“芸風が似ている”ということで後継コラムニストとして指名されたブラザー・キム氏が、香港を拠点に世界を飛び回りながら、一流エリートと二流エリートの違いをつづっていく。  
STAP論文に不適切な点があったことについて謝罪する、理研の野依良治理事長ら(撮影:風間仁一郎)

「うーん、ほんまSTAP細胞って、なんやったんや……」

寒さの残る香港はマンダリンオリエンタルホテルの一室で、本来ならば今度こそ、「ドイツのソーセージはなぜおいしい?!」というコラムを出そうと思っていたのに、またしても時事ネタの誘惑に敗北してSTAP細胞論争に参戦する運びとなってしまった。

まずSTAP細胞発表時はリケジョの星と持ち上げ、疑惑が指摘されると、今度は批判のスパイラル報道で儲けるメディアを見ていると、ある時は韓流を押して儲け、次はその反動の嫌韓で儲け、という節操のない行動を繰り返す「事実・真実に関する審査能力のないメディア」に辟易とするわけだが、むしろメディアに信頼性の担保を求めるのがどだい不可能で、真実の番人はより厳正な審査機関に任せざるをえないのが実情だろう。

今回は驚いたことに、その厳正な審査機能を果たしているはずの世界的な科学誌『Nature』に掲載された論文が、なんと疑惑まみれで、そのユニットリーダーであった小保方晴子さんの早稲田大学における博士号論文もコピペが大量に見つかり、理研としても謝罪・論文撤回に追い込まれている。

ハーバード大学の教授である共著者のチャールズ・バカンティ教授だけが論文撤回に難色を示しているというが、これはアカデミズムの倫理に極めて厳しい米国の最高高等教育機関で教鞭をとるバカンティ教授にとって、発生するとは信じられない不正であり、STAP細胞の存在よりも、“『Nature』に出す論文での初歩的な不正”や“博士号論文でのコピペ”の存在のほうが到底信じられないことなのかもしれない。

また論文にサインオフしたということは、自分の信頼性がかかっている問題であり、周りから批判されて簡単にひっこめるようでは、「どんなレベルの実験と研究をしてきたのだ」と、違う方面からの批判にさらされるリスクもあるだろう。

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